2025.03.14 [ その他 ]
《ブック・スプラウト》“模倣と創造の関係”
県立長野図書館では、2Fカウンター横に《ブック・スプラウト》コーナーを展開しています。
現在“音・ことば・身体”(7・8類)ゾーンでは、“模倣と創造の関係”をテーマに展示を行っています。 (※《ブック・スプラウト》コーナーの様子は⇒)
『広辞苑 第7版』(岩波書店 2018)によると”模倣”とは「自分で創り出すのではなく、すでにあるものをまねならうこと。他者と類似あるいは同一の行動をとること。幼児の学習過程、社会的流行、さらには高度の文化活動など、文化的・社会的に重要な意義をもつ。(後略)」とあります。
『広辞苑』による意味からも分かるように、模倣の反義語として挙げられるのが“創造”です。
(『反対語・対照語事典』汐文社 2006)
“模倣”と“創造”、反対の意味をもっていますが、互いに影響し合いながら、芸術・科学技術など幅広い分野で発展してきたことを考えると、お互いがお互いを必要とするような相関関係を為しているといえるのではないでしょうか。
しかし、そのような関係の中で、ある一線(範囲)を越えてしまうと、“盗作”、“剽窃”、“贋作”などといった問題を生み出す可能性も内包しています。
また、二次創作など作品の潜在的魅力を拡張し、新たな価値を生み出すような状況もある“模倣と創造の関係”。そんな切っても切れない、その関係性を考えていただけるような本を展示しています。
“模倣と創造の関係”について個人レベルで考えてみると、人は生まれてから成長する中で、親や兄弟の真似をしたり、周囲の人から学んだりしながら育ちます。“見様見真似”といった言葉もあります。
『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房 2012)で“真似”を引くと「語源は、「まことのものに似せる」です。まなぶのマナも同源です。他人と同じことをする意です。」とあり、続いて“学ぶ”を引くと「語源は、「マナ(真似)+ぶ」です。文化の高い中国から、学の概念が入って、よく似た概念の真似に、動詞を作る接尾語、ブを加えたものと思われます。(後略)」と書かれています。
同じ語源の“真似”と“学ぶ”。社会の中で人は、真似をして、学んでいくことで、自ら新しいものを創り出していきます。芸術に置き換えてみると、模写は技術・能力を向上させ、新たなものを生み出すために必要なものかもしれません。
また、流行などは真似(模倣)する人・広げていく人がいなければ成り立たないものであり、更なる工夫や改良が行われることで、新たなものが生み出されてきたことを考えると、“人は模倣して進化する”と言えるのかもしれません。
人の憧れを刺激し、真似したくなるようなものについて参考にしていただける本を、“人は模倣して進化する”という小テーマで展示しています。
《ブック・スプラウト》コーナーと併せて、2F一般図書室の北側奥にある“音・ことば・身体”(7・8類)ゾーンでは、より自分自身に引き寄せて“模倣と創造の関係”について考えていただけるよう、“真似から生まれるシン・ワタシ”という小テーマで、衣食住に関する本を展示しています。
一般図書室の入口から一番遠いエリアですが、ぜひこちらのコーナーの展示もご覧ください。
展示期間は3月〜6月末です。
今回の展示から新たな本との出会いがあれば幸いです。
〇参考文献
『広辞苑[2] 第7版』 新村 出/編 岩波書店 2018年刊 [813.1/シイ/2]
『反対語・対照語事典』 高村忠範/編 汐文社 2006年刊 [813/タ/]
『日本語源候辞典 増補版』 増井金典/著 ミネルヴァ書房 2012年刊 [813.6/マカ/]
【お問合せ】資料情報課(TEL:026-228-4921)
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
県立長野図書館 総務企画課
TEL:026-228-4939
FAX:026-291-6252