郷土図書展示の悲劇…… ※写真閲覧注意!?

ブナの割れの原因は乾燥だと考えていましたが、違う原因も考えられるかもしれません。

  • 木から音がすることに関する記述だと、
    『日本国語大辞典』13巻 小学館国語辞典編集部編 小学館2002 【813.1/シヨ/13】p.167-168 やなり[家鳴]
    「家屋が鳴り動くこと。また、その音。」
    という記述がありました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ほかに資料はないかと探していると…
長野県林業総合センターの方が、林業士入門講座開催のために当館に来館していました。これ幸いと思い、専門家に話を聞いてみることにしました

ブナの木から音がする理由について、虫が原因である可能性が高いとのことでした。虫の種類については、ブナから見つかっていないのでわかりません。

サクラの木には小さな幼虫がいましたが、他にも違う虫がいる可能性があるとのことです。キクイムシかゾウムシの一種だと思われます。

ブナの割れは自然現象とのことでした。木材を製品として出す場合、乾燥時には割れが入らないよう気をつけるとのことですが、今回は切り出したものをすぐに展示に出したため、うまく乾燥ができずに割れが入ったようでした。

調査終了

ブナの木からする音をきっかけに、図書館の資料や専門の方のお話を元に、原因の観察から展示の是非・対策につなげ、木や虫についても知ることが出来ました。
このような日常から沸き起こる疑問や違和感から、資料などを使って必要な情報にアクセスできるのが、図書館の魅力の一つだと思います。皆さまもなにか気になることがあったら、ぜひ図書館で調べてみませんか?

虫が確認できた木は他の原木と入れ替えることにしました。虫食いや割れの様子は写真を展示しています。また、展示している原木には殺虫剤を散布しました。

製品として、虫食いや割れはあまり歓迎されることではありません。ですが、虫食いや割れの姿は自然な木の姿です。その自然をぜひ写真や展示している原木から感じていただけたら嬉しいです。

調査資料
『板目・柾目・木口がわかる木の図鑑――日本の有用種101』西川栄明著 創元社 2021【657.2/ニタ】
『実用木材・木質材料小事典』梶田煕ほか著 東洋書店 2013【657.03/カヒ】
『木材・樹木用語辞典』木材・樹木用語研究会編 井上書院 2004【657.03/モク】
『建築大辞典』第2版 彰国社編・刊 1993【520.33/ケン】
『日本国語大辞典』13巻 小学館国語辞典編集部編 小学館2002 【813.1/シヨ/13】
ほか参考資料
『木材の乾燥 基礎編Ⅰ 木材科学講座7』信田聡編 海青社 2020【657.08/シサ/1】
『原色木材大事典185種 相補改訂』村山元春監修 村山忠親著 成文堂新光社 2013【657.03/ムタ】

1 2 3

このブログのトップへ

このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら

県立長野図書館 総務企画課
TEL:026-228-4939
FAX:026-291-6252