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「哲学」するって楽しい♪あなたとわたしの「歴史」が交差するとき(FMぜんこうじ「図書ナビ」第35回)

FMぜんこうじからお届け

FMぜんこうじからお届け

みなさま、こんにちは。県立長野図書館の森です。FMぜんこうじの「ひるどきもんぷらワイド」、 2026年2月10日(火)に放送された「図書ナビ」コーナー、第35回目の内容をご報告します。今回、中川さんのトークは、冬季オリンピック、ミラノ・コルティナ大会の話題から。日本代表選手の皆さん、メダルも獲得して勢いがあって、きっとこんな気持ちなのかな?ということで、本日の一曲目はAdo私は最強』(YouTube)でした。「♪さぁ、怖くはない 不安はない 私の夢は みんなの願い 歌唄えば ココロ晴れる 大丈夫よ 私は最強~♪

雪はたくさん降る?そうでもない? ~視点が変わると…

中川さん:立春過ぎましたが、まだまだ寒いですね~。安曇野方面、雪はどうですか?

森:ほんと、寒いですよね。我が家は池田町にあるんですが、一番北の端っこで大町市に近いんです。雪はよく積もるほうで、庭にもまだ雪がたくさん残っています。実は、移住してきたとき、お隣さんに「雪、積もりますか?」と聞いたら「そんなに積もらないよ」と言われて、「良かった」って思ったんですよね。でも、実際には私の感覚だと「かなり積もる」感じです。
よくよく考えたら、お隣さんは大町や白馬のほうと比べておられたし、私はそれまで住んでいた松本と比べていたんだってことがわかって。同じ環境にいて、同じ景色を見ながら話していても、見る角度や感覚で、変わってきちゃうんだな。面白いなぁって思いました。

中川さん:確かに!距離感なんかもそうですよね。「近いって聞いていたのに結構遠い」とか(笑)

「哲学」って実は身近なもの? ~ものの考え方や深堀りを愉しむ

中川さん:さて、今日も本のこと沢山聞いていきたいと思うのですが。最近、若い人の間でも哲学書が話題になっているようです。それも、従来ものとは少し違って、ものの考え方や深堀りを愉しむ本を含めて「哲学」と捉えているようなんですが…。森館長は、「哲学書」をいろいろ読まれているのでしょうか?お気に入りの本はありますか?

おすすめの「哲学書」

おすすめの「哲学書」

森:いわゆる古典としての「哲学書」はほとんど読んでいないんですが、30年前に大ベストセラーになった、ノルウェイのヨースタイン・ゴルデルさんの『ソフィーの世界:哲学者からの不思議な手紙』NHK出版(1995年)。これは、ファンタジーや謎解きの要素もあって面白かった記憶があります。今回引っ張り出してきましたが、結構分厚いですね。主人公の女の子、表紙の絵も素敵です。ほとんど忘れてしまっているので、この機会に読みなおしてみたいと思います。

中川さん:この表紙、見覚えがあります!女の子の周りにいろんな動物がいて、ちょっと不思議な感じですね?

森:それから、信州大学人文学部の三谷尚澄先生の『哲学しててもいいですか? 文系学部不要論へのささやかな反論』(2017)ナカニシヤ出版。これは、私が大学図書館にいた頃に出たもので、大学改革で人文学が軽視されるというか「もっと世の中に直接役に立つ理系に力を入れよう」みたいな動きがあって、真剣に読みました。哲学にはどうしても「難しいもの」というイメージがありますが、意外と私達の生活においても役に立つというか、身近な「思考の道具」としてなくてはならない学問なんだと思いました。ビジネス書なんかでもよく引用されていますよね。中川さんのほうで注目している「哲学書」、ありますか?

中川さん:「哲学書」ではないのですが、結婚前に勤めていた企業では「フィロソフィーの時間」というのが設定されていて。どんなに忙しくても、必ずその日にはみんなが集まって話をするということがありました。ルールはたった一つ「誰のどんな発言も否定しないこと」。けっこう燃えました(笑)。皆さんの人となり、例えば「意外と優しい人なんだ」ということがわかったりして、愉しかったです。

森:なるほど…それすごく良い職場文化ですね!私もやってみたいです。やっぱりフラットな対話の場はとても大切ですよね。

「思考のレシピ」 ~自分が自分であるために

『思考のレシピ』と『ヘッセ 人生の言葉』

おすすめの「哲学書」

森:私がいちばん身近に感じた「哲学書」は、『思考のレシピ : 自分が自分であるために 哲学からのヒント』ディスカヴァー・トゥエンティワン(2014)です。著者の羽入佐和子先生は、私がお茶の水女子大学の図書館にいた頃、学長をされていた方です。羽入先生、学長になられる前は図書館長をされていたこともあって、とても親しくお話をさせていただけることがありました。(羽入先生はその後、国立国会図書館の館長になられました。)

中川さん:「思考のレシピ」「自分が自分であるために」…

森:お料理本のレシピになぞらえて、いろいろな哲学者の考え方を料理するように、美味しく自分の身になるものにしちゃおう、という趣旨の本です。「この混沌とした社会を生き抜くためのヒントは、哲学が教えてくれる!哲学が日常の中で役に立ったという実感は、一般的にあまりないかもしれません。しかし、「そもそも『役に立つ』ということはいったいどういうことなのか?」といった本質的な問いを発してきたのが哲学の理論。現代、求められている課題発見能力や批判的思考などは、哲学の考え方が培ってくれるのです。」という解説が付いています。

アリストテレスカントデカルトニーチェといった、名前だけはよく聞く人たちの考えも沢山出て来るし、ヤスパースという、私はあまり知らなかった哲学者が、実は羽入先生のご専門だったようで、沢山引用されていました。ヤスパースは「コミュニケーション」の哲学者で、日常的だったり、学問的だったり、宗教や芸術など精神的なコミュニケーションのほかに、「実存的なコミュニケーション」があるとしたそうなんですね。

本日ご紹介した本たち

本日ご紹介した本たち

中川さん:「実存的なコミュニケーション」聞いたことがない言葉です

森:私も本を読んでざっくりと解釈したので、正確ではないかもしれないんですが。まずは、自分が一人であることに気付くことが、他者とのコミュニケーションの出発点。孤立した中で、自分の存在を深く意識したときに、他者と出会う。そして、自らを閉すのではなく、他者を介して、他者と共に、それぞれが新たに自分の存在に気付く。という段階を踏むんですね。「実存のコミュニケーション」とは、「かけがえのない個人と個人が出会い、それによって、自分の存在に気付き、他者の存在の意義に気付く」こと。「共に考える」ことは、お互いを尊重し合い「共に生きること」を考えることなんだよ。という結論が導き出されています。

「哲学」するって楽しい♪ ~あなたとわたしの「歴史」が交差するとき

森:そしてもう一つ印象的なのは、一人一人が「歴史的な意識」を持っていると言うことです。
人は、生きていると、さまざまな出来事に出会い、必ずしも上手く行くとは限りません。でも、ただただ、過ぎ行く時間の中に囚われているのではなくて、「自分の時」を刻み、出来事を蓄積している。歴史を紡いでいる。だからこそ、一人一人が「かけがえのない」存在なのだと。そして、「時を刻み、歴史を紡いでいる」のは、自分だけではない。自分の歴史と他者の歴史とが交差し、そこに新しい出来事が生じる。人が交差する際に、それぞれがお互いに、かけがえのない存在になる。ということが、導き出されるんですね。

なんだか素敵じゃないですか? こうして、中川さんのラジオに「図書ナビ」コーナーを設けていただいて、月に一度、中川さんとの歴史が交わる。そして、リスナーの皆さまとの歴史も交わる。そんな時間を過ごさせていただいているんだなと、改めて有難く感じました。

人生を応援してくれる ~本の力、言葉のチカラ

中川さん:今月の一冊お願いします!

森:今日は、ヘルマン・ヘッセの『人生の言葉』ディスカヴァー・トゥエンティワン(2016)を持ってきました。ヘッセといえば、『少年の日の思い出』や『車輪の下』が、国語の教科書にも載ったりして有名です。いろんな「言葉」があるんですが、「書物」という詩の一節があります。
どんな書物を読んだとしても、古今東西のあらゆる書物を一冊残らず読破したとしても、それゆえに幸福になるということはない」…ここから、中川さん、読んでみていただけますか?

中川さん:「けれども、自分が読んだ本は必ず自分に力を与えてくれる。迷った時、いざというときに、本来の自分に立ち戻れる力と、その力を育む栄養をひそやかにあたえてくれているのだ。

森:ありがとうございます!!素敵な言葉ですよね…

中川さん:今、ページをパッと開いたら、「本当の自分自身になるために」という言葉が出てきました!この本、私も手元に置きたいと思います。

フォーラムシリーズ “子どもと共に創る読書のいとなみ” 始まります!

中川さん:リスナーの皆さまへお知らせやメッセージをお願い致します!

森:今日は「哲学」の話、「一人一人の歴史が交わること」、そして「本の力」が話題になりましたが、子どもたちにもぜひ、そんな環境を地域の皆さんと作っていきたい。ということで、これから図書館で開催するイベントをご紹介します。

「子どもの読書活動推進の担い手と可能性を考える」シリーズ“子どもと共に創る読書のいとなみ”第1回

令和7年度から始まった、「第5次長野県子ども読書活動推進計画」を具体化するために、計画策定委員をされた方々が集まって、参加者の皆さんと一緒に、「これから」を考える会をすることになりました。子どもの読書活動に興味関心のある方は、どなたでも大歓迎です!

  • 2月22日(日)13時から。
  • 場所は、県立長野図書館3階です。
  • お申し込みは ウェブサイト、電話:026-228-4939へ。

 まだまだ寒い日が続きます。心が温かくなるものを探しに、いらしてください。ありがとうございました!

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