2025.09.12 [ 山好き館長の信州便り ]
読むこと・語ることは人生の彩り!(FMぜんこうじ「図書ナビ」第30回)
中川さん:「知る自由」は、意識して守っていく必要があるんだということ、とても大切ですね。
「読む読む・語る」平均年齢85歳の読書会の物語
中川さん:今日のおすすめ本、お願いします!

『よむよむかたる』
森:シリアスな話になっちゃいましたので、読書会つながりで、ちょっと楽しい話題を。
この夏の芥川賞・直木賞は、両賞とも「該当作なし」で残念だったんですが、直木賞の候補作になった朝倉かすみさんの『よむよむかたる』文芸春秋(2024)が、とっても面白かったので、おススメします!
物語の舞台は、北海道の小樽。月一回の読書会に集う人々の物語です。読書会メンバーの平均年齢は、なんと85歳。とにかく、どのキャラクターも強烈な個性の持ち主です。
読書会で取り上げる作品は、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』講談社青い鳥文庫(1980)。主人公は、子どもの頃、自分だけの秘密の場所を見つけるんですが、そこで「こぼしさま」と呼ばれる小人たちに、一瞬だけ出会います。戦争を経て、大人になってその土地に戻ってきて、小人たちに再会します。実はこの小人たちは、「コロボックル」なのではないか?と、ルーツを探ったりしながら、お互いのことを信頼し合うようになります。ところが、小人たちが住んでいる土地が、道路工事で潰されてしまう、という危機に見舞われるんですね。そこである作戦を立てて、協力しながら小人たちの国を守ろうと奮闘します。
この本、何十年かぶりに読み返して、「こんなに面白かったのか!」と、ゾクゾクするほどでした。

『だれも知らない小さな国』
森:『よむよむかたる』のほうに戻って…(笑)。読書会では『だれも知らない小さな国』を一人一節ずつ読みながら、感想を言い合います。本質を突くような発言があったり、延々と脱線したり…。本のタイトルは『よむよむ・かたる』ですが、分量で言えば『よむ・かたるかたる』が実態に近いです。読書会の会場「喫茶シトロン」の雇われ店長になった、自称小説家の若者”やっくん”が語り手なんですが、その描写の眼差しが温かくて、可笑しくて、そしてほろりとさせられる場面もあるんです。
中川さん:本の表紙は、可愛い女の子がぬいぐるみをギュっと抱いている絵なんですね?
森:そうなんです。登場人物たちは高齢の方々なのに、どうして?と、ちょっと不思議ですよね。その謎も、本の中で明かされます♪
『よむよむかたる』は、読書推進運動協議会が作成する、「2025 敬老の日読書のすすめ」にもリストアップされている作品です。中川さん、キャッチコピーを読んでみていただけますか?
中川さん:「~心ゆたかに生涯読書~ 読むこと、語ることは、人生の彩り!」
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