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人生は「カラフル」―自分を肯定できる生き方のために(FMぜんこうじ「図書ナビ」第20回)

森:今回は森絵都(もり・えと)さんの『カラフル』(初版:理論社・1998年7月)をご紹介します!
『カラフル』は、文春文庫の中で、高校生が選んだ「読みたい文庫」No.1になった本で、アニメ化(2010年)や、実写の映画化(2000年2022年)、ミュージカルにもなっています。

主人公は、何かの理由で死んでしまった「魂」の「ぼく」です。
突然、天使が現れて、「君は生前に犯した罪により、「輪廻のサイクル」からはずされた。けれども、抽選に当たって、再び挑戦するチャンスを得た!」と言われます。そして、自殺を図った中学生の少年、「真(まこと)」の体に入って、修行することになるんです。
「ぼく」が「真」の家族と暮らすうちに、始めは理想的に思えた家族にも、欠点や問題が見えてきます。そして、どうして「真」が自殺に追い込まれてしまったのかが明かされます。
のっぴきならない状況なんですが、それでも、「ぼく」の魂は、やっと得られた唯一の親友や、両親、兄、ちょっと変わったクラスメイト、憧れの女の子などと関わるうちに、だんだんと、変っていくんですね。

物語の中で、こんなセリフが出てきます。中川さん、ちょっと読んでみていただけますか?

中川さん人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり、苦しめたりしている。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも、迷っている。どれがホントの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて・・・。」

森:人間は一色じゃない。「きれいな色も、みにくい色も。角度次第ではどんな色だって見えてくる。」間違いは誰にでもあるし、矛盾した考えや、行動があってもおかしくない。その人を構成するいろんな色の一つだし、そんな人たちが集まって、この世の中をつくっているんですよね。『カラフル』という本のタイトルは、そんな思いから来ているんだと思います。

中川さん角度次第では」というセリフが出てきましたが、本当にそうだな、と。見る目が違うと別の姿が見えてきますよね

森:この本は、死んでしまった「ぼく」が生きる、やり直しの人生。一度は手放してしまった人生を、もう一度取り戻す物語です。
現実の人生でも、後悔はしたくない。だから今、できることを、精一杯やってみる。でも、それが出来なくても、自分を責めたりしないで。「いつだってやり直せると信じて、諦めずに生きていきたいな。」そんな風に思わせてくれる物語です。

物語の良さは、時代や年齢、立場を超えて、いろんな人の人生を追体験できることですよね。
秋の夜長に、じっくりと本を読んで、「自分の人生」を見つめ直し、それを受け入れて、これからの人生も大切にできるような、そんな読書体験ができたら・・・と思っています。

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図書館前のドウダンツツジ

図書館からお知らせはありますか?

森:イベント情報です!来る11月28日(木)午後13時から16時まで、長野グランドシネマズで、「信州横断[昭和・現代史]講座」の映画会「野菊の如き君なりき」が開催されます。伊藤佐千夫の「野菊の墓」を映画化したものです。信州って、たくさんの映画の舞台になっているんですが、今回は、「信州を舞台にした戦後の名作映画」をテーマに、講演もしていただくことになりました。
会費は1,000円です。ぜひ懐かしの名画を鑑賞し、講演を聴きにいらしてください。お申込みは不要です。

中川さんぜひ、見に行きたいです!

最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします

森:図書館前の若里公園は、地面に散り敷いた落ち葉も、ドウダンツツジとケヤキの紅葉も最高です。

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