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過去の体験・記憶が現在にもたらすもの(FMぜんこうじ「図書ナビ」第17回)

中川さん:まさに、「体験」ですね!?

森:椰子の実にどうやって穴を開けるか。最近だとYouTubeに動画があるので「こうすれば良いんだ」ってわかりますが、40年前だとそれもないですしね。で、主人公はその島から出て行くチャンスがあったのに、もう少し留まりたいと思うようになります。島の精霊たちとの交流もあって。おとぎ話的なファンタジーではなく、とてもリアリスティックです。今回久しぶりに読んだんですが、生きるため必死に手足を動かしている時って、頭のほうは逆に冴え冴えとして、哲学的になって行くような感じがあると思うんですが、とても新鮮な感覚を味あわせてくれる作品です。

中川さん:「久しぶりに読んだ」ということですが、前に読んだ時と今回とで印象は変わりましたか?

森:変わりました。以前読んだ頃はアウトドアはしていなかったんですが、山に登るようになって。生きるか死ぬかという時に知恵と工夫と道具で乗り切るみたいな経験をして、感じ方も変わってきたと思います。

FMぜんこうじスタジオにて

FMぜんこうじスタジオにて

過去の体験・記憶が現在にもたらすものとは?

中川さん:実は、ずっと森館長にお聞きしてみたいことがあったのですが…。森館長はいつも、今日の「体験格差」もそうですが、ちょっと困っている人や、立場の弱い人のことを考えていらっしゃるように感じます。何か、ご自身の体験があったから、なのでしょうか?

森:あんまり意識したことはなかったですが、言われてみると、昔の水害の体験が大きいかもしれません。中学1年生の時に「長崎大水害」に遭って、住んでいた家の隣の通りが水没しました。この水害では沢山の方が亡くなったんですが、被害に遭わなかった学校の生徒から、絵手紙をもらってしばらく文通したんですね。あれは多分、学校の行事として先生の指導があってしていたんだと思います。自分がショックを受けて辛い時に、誰かが気にかけてくれること、寄り添ってくれることがこんなにも慰めになるのか。勇気付けてもらえるのかということを、身をもって知ったように思います。

中川さん:そういうことがあったんですね。良いお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。

暑さが続く中、これで「涼をとる、スッキリする、癒される」など、森館長の元気の源って何かありますか?!

森:氷枕です! 昔はゴム製の袋に氷を入れていましたが、最近の氷枕はガチガチに凍るんじゃなくて、柔らかく凍るので、とっても気持ちいいです。エアコンがあまり好きじゃないので、扇風機と氷枕で乗り切っています。

中川さん:リスナーの皆さまへ、メッセージをお願いします!

森:さっき、中川さんのおかげで、自分が被災したりして辛い思いをした時に、寄り添ってもらえることの有難さを思い出せました。人生、いろいろなことがあります。いろいろな体験があります。そんな体験の本が図書館にはたくさんあります。こどもも大人も、誰でも、自由に、自分自身のペースで本を読んだり、ぼーっとしたりできるのが、図書館です。まだまだ暑いので、ぜひ涼みに来てください。ありがとうございました!

こぼれ話

今回は思いがけず、子どもの頃の水害の体験を思い出しました。実はいつも、ラジオでお話しする内容は原稿を書いて準備しますが、中川さんとお話ししていると、考えていなかったことがポロリと出ることがあります。こういうのが、生放送の醍醐味なのかもしれませんね。実は中川さん、ラジオのパーソナリティーだけではなく、ヴォイストレーナーや歌手もされているそうなんです!「The Song 2024 オトナ ココロ オドレ」のご案内をいただきました。きっといつもとはまた違うだろう中川さんの歌声を、聴きに行ってみたいと思っています。

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