しあわせ信州 > 長野県魅力発信ブログ > よむナガノ 県立長野図書館ブログ > 山好き館長の信州便り > 本屋さんと図書館のちょっとステキな関係(FMぜんこうじ「図書ナビ」第27回)

本屋さんと図書館のちょっとステキな関係(FMぜんこうじ「図書ナビ」第27回)

中川さん:では、今月の一冊お願いします!

森:今日は、リアルな本屋さんがあることで、得られるインスピレーションということで、紙の本の良さが感じられる本を持ってきました。『夜の木』という、中央インドのアーティストたちが描いた、とても美しい装丁の本です。全てがハンドメイドで、手漉きの紙に、シルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、製本も手作業だそうです。この本、ある本屋さんで目にして、手元に置きたいなとずっと思っていたんです。私が手に入れられたのは12刷で、刷りごとに表紙の絵が違うんですよ。
夜になるとその本性を現すという聖なる木。神が住むと言われる木。例えば、「闇夜に光る木」は、こんな物語です。「ある日、牛飼いがかあさん牛と子牛を連れて、家に帰ろうとしていた。そしたら、かあさん牛が見当たらない。日が暮れて、暗い雲がたちこめて、不安になっていた。」その様子を見ていたホタルが「わたしについておいで、かあさん牛をみつけてあげられるかもしれない」と言いました。ホタルについていくと、突然、不思議な光景が見えてきます。中川さん、ここ素敵なので、読んでみていただけますか?

中川さん:一本のセンバルの木が、まるで宝石のようにきらきら輝いているのだ。枝の一本一本、葉の一枚一枚に、ほたるがとまっていたのだった。そして木の下には、ホタルの放つ光をあびて、母さん牛がうずくまっていた。

森:ステキで不思議な世界観ですよね。そして、こちらは村上春樹さんの『街とその不確かな壁』の文庫版です。表紙の絵を見ると・・・なんと、『夜の木』の絵が使われているんです。(そして、そして、以前ご紹介した、いわさきちひろ絵本美術館の松本猛さんが書かれた『絵本とは何か』という本でも、この『夜の木』が紹介されていました!)

1冊の本が、いろいろな人にインスピレーションをもたらし、世界が繋がっている不思議さを感じさせてもらったのでした。こういう、紙の本ならではの「モノ」としての美しさに、本屋さんで出会えたら嬉しいなと思います。
そういえば中川さん、城崎(きのさき)でしか手に入らない、蟹の脚のデザインの本のことを話してくださったこともありましたよね。

中川さん:湊かなえさんの『城崎へかえる』ですね。今日も、本にまつわる本当に豊かなお話、時間をありがとうございました!最後にリスナーの皆さまへご案内やメッセージをお願い致します。

読書バリアフリー

読書バリアフリー関連のイベント

「読書バリアフリー」って何だろう?

森:今日は書店さんと図書館の関係とか、書店さんでの本との出会いについて話題にしてきました。

一方で、紙の本を読むことが難しいという読者の方に、いかに本を届けるか?という視点もとても大切なことなんです。そこで、6月29日(日)、に、「読書バリアフリー」に関するイベントを行うことになりました。第1部は、読書バリアフリー全般に興味のある方向け。目が見えづらい、文字を理解することが難しい等、ご自身やご家族の方で、本を読むことにバリアーを感じておられる方など、どなたでもご参加いただけます。第2部は、聞こえない・聞こえにくい方向け「デジとしょ信州」の体験会。ぜひご参加いただけると嬉しいです。今日もありがとうございました!

1 2 3

このブログのトップへ

このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら

県立長野図書館 総務企画課
TEL:026-228-4939
FAX:026-291-6252