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本屋さんと図書館のちょっとステキな関係(FMぜんこうじ「図書ナビ」第27回)

きっかけは「デジとしょ信州」

フォーラムのきっかけは、「デジとしょ信州」でした。長野県内、77全ての市町村と県による協働電子図書館、「デジとしょ信州」が3年前に始まってすぐの頃、長野県書店商業組合の理事長さん(佐久西澤書店の柳澤社長さん)が、訪ねて来てくださいました。長野県民は、誰でも、いつでも、どこからでも使える「デジとしょ信州」は素晴らしい。  でも、図書館が全県的に電子書籍サービスを始めたら、リアル書店はますます厳しくなってしまうのではないか懸念している。そんなお話をしてくださったんです。実は、長野県には、県内のいろいろな図書館が持っている本、蔵書を一度に検索できる「信州ブックサーチ」という横断検索システムがあります。「デジとしょ信州」が始まった時「紙の本も電子の本も一緒に探せたら便利」ということで、実現していました。

そこから、県内書店さんの在庫情報にもリンク出来たらどうだろう?と思ったんですね。図書館で本を探してみて、紙も電子も貸出中とか、図書館には無いことが分かった時、ネットで買うのは簡単なんだけれど、もし、近場の本屋さんにあることが分かれば、買いに行きたくなるんじゃないかと。
でも、その当時はまだ、県内の全ての書店さんに参画していただけるシステムはありませんでした。ある特定の本屋さんの在庫にはリンクできるけど、他の本屋さんにはつながれない。そういう方法は、図書館としては、取りたくなかったんです。

図書館の利用がリアル本屋さんにつながる?

書店在庫情報システムと信州ブックサーチのシステム連携

一方、全国的に書店さんの数が減り続けている状況が、さかんに報道されています。長野県では、図書館のない自治体が約1/4、書店のない自治体が約半分、書店も図書館もない自治体がやはり1/4です。
さまざまな取組が展開される中で「書店在庫情報プロジェクト」が立ち上がり、すべての書店さんが、在庫情報をアップロードできる仕組みが実現しました。県立長野図書館にも連携しませんか、と打診していただき、「今度こそ!」と思って、昨年7月に「書店在庫情報プロジェクト」と「信州ブックサーチ」のシステム連携が実現したんです。読者の方には、本を読む時、書店で買う、図書館で借りる等、それぞれのスタイルがあると思います。この二つの行動パターンが無理なくつなげられたら、読書環境はもっと豊かになるんじゃないかと思ったんですね。

こうして、システムは繋がりました。でも、人と人とが繋がっていませんでした。やっぱり、人が繋がって顔の見える関係性になれてこそ、協働できると思うんです。それで、フォーラムを開催することになったんです。
書店さんと図書館は、いわゆる「無料貸本屋論争」といって、ベストセラー本を図書館が複数冊買って無料で貸すから、本が売れなくなるんだ…というのがあって、なかなか難しい関係性もあるのですが、書店も、図書館も、「読者」と「本」を繋ぎたい。そこから生まれる新しい「知の循環」の担い手でありたいという想いは共通していると思います。

中川さん:沢山の人に沢山の本を届けたい・・・目的というか、ベクトルは同じですよね。

本屋さんと図書館のちょっとステキな関係

森:実は、お隣の山梨県では、10年以上前、2014年から「やま読」という取組を県内の書店さんと図書館が一緒に取り組んでおられます。例えば、書店さんと図書館のスタンプラリーとか。楽しく自然に、両方に行けちゃうイベントをされています。山梨県の図書館の職員さんが、こんな風におっしゃっていました。
今の子どもたちはスマートフォンやタブレットに時間をとられて、どんどん本を目にする機会が減っていると思います。でも、図書館としては、必ずメディアとしての本もなければいけないはず本に目に触れる機会をつくろう、親しみをもってもらおう、というのは、図書館と書店が一緒に楽しく取り組める活動ですよ。」
そして、もっと言えば、「書店が減るということは、本というメディアを目にする機会が減ることになり、それは創作活動に本という媒体を選ぶことが少なくなることにもつながります。それは図書館にとってもデメリットだと思うんです。」と。
このまま書店が減り続ければ、新しい作品が、本というメディアで作られなくなってしまうかもしれない」そこまで心配な状況なんじゃないか。そこまでは、私も思っていなかったので、ある意味ショックでした。これからも豊かな本の世界が創り続けられるためにも、できることをやって行きたい。「本屋さんと図書館のちょっとステキな関係」を拡げて行けたら良いなと思っています。

中川さん:6月10日「時の記念日」にちなんで、シチズンが【時間意識調査】「親子のふれあい時間」調査を行ったそうです。子どもが学校の勉強以外で疑問があった時、相談する相手は「両親」が最も多く、低学年では9割以上。日常的な疑問に関しては親を頼りにしているようです。一方で、高学年では「(本やインターネットを使って)自分で調べる」に加えて、「AIに質問する」といった選択肢も増えているそう。親子の会話のあり方も変わってきているし、本もデジタルで読むことが増えているのかなと思います。電子書籍なら障害があっても読みやすいという要素もありますしね。

森:やっぱり、紙とデジタル、両方必要なんだと思うんですよね。

一冊の本から生まれるインスピレーションの連鎖

『夜の木』『街とその不確かな壁』

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