ほっと9(ナイン)ながの 長野で働くスタッフが、長野地域の9つ(ナイン)の市町村の「ホット」な魅力をご紹介!(長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、飯綱町、小川村) 私たちの日々の仕事の話、「ほっと」一息つける癒しの裏話、きっと役に立つ暮らしの豆知識、おすすめ絶品グルメ…などなど、ここでしか出会えない”ながの”のすがたをお見逃しなく!(旧「ほっとスタッフブログながの」)(写真:信濃町 黒姫山の冬)

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林務課のSです。
2020年(令和2年)4月に民法が改正され、建設工事にも関係のある「契約不適合責任」という制度ができました。
(以前は、「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」といわれていました。)
この制度は、「名称がかわった。実務的には以前とあまり変わらない」とも言われています。
そこで今回は、①制度が変わった経緯を簡単に説明し、②林務課が発注する工事で留意した事例について紹介します。

《契約不適合責任について》
瑕疵(かし)とは、そのもの本来の機能がそこなれてしまうようなキズや欠陥のことを意味します。
例えば、家の屋根の穴などをいいます。家の売り買いの場合、売り主は欠陥の無い家を売る責任があるというわけです。

ところが、近年、裁判例によって次のようなものも瑕疵、欠陥として売り主の責任が認められるようになってきました。

例1 買った家の屋根に穴があいていた場合
例2 買った家が「耐震偽装」されていた場合(以上、物理的な契約不適合)
例3 買った家(一定の家)の敷地が2m以上道路に接続されていない場合(法律的な契約不適合)
例4 買ったマンション(中古)で以前自殺があった場合(心理的な契約不適合)

さらに、建屋根に穴もなく、標準的な強度で完成した建物についても契約の内容に適合しないと「瑕疵」(かし)に認定される事案も発生するようになりました。

例5 請負代金請求事件(H15.10.10 平成15(受)377)

以上のように屋根の穴のような物理的なものだけでなく、心理的なものまで含めて契約の内容に適合しないこと(契約不適合)に対する責任を「契約不適合責任」ということになったそうです。

なお、契約不適合があった場合、買い主は売り主に代金の減額などの請求をすることができます。

(ア 履行の追完請求、イ 代金の減額請求、ウ 損害賠償請求、エ 契約の解除)
この場合、契約の内容とは、「売り主と買い主が特に定めた合意」と「取引概念、社会通念上売り主と買い主で当然に定めた合意」からなるそうです。

 

《林務課の取り組み事例について》
林務課では山崩れなどで荒れた斜面を整地して緑化するような工事を発注することがあります。そんな、工事現場で発生する契約不適合責任について林務課で発注者として取り組んでいる事例(緑化工事の事例)を二つ紹介します。

ア 緑化資材の確認
荒れた山肌を復旧し緑化するために、マット(植生マットのこと。マットの中に草木のタネや肥料などが入っている。)を張り付けることがあります。
マットの中にタネや肥料が十分入っていない場合、草木が生えてきません。
このため、マットを設置して一定の期間が経つと現地調査を行うことがあります。
この調査は契約不適合責任と関係のある調査です。


▲植生マットが効果を発揮し、草が生えて緑化が始まった斜面
(契約に十分適合した工事がされて、「契約不適合」とは無関係の写真です。)
(長野市日下野地籍、2020年6月撮影)

イ 水源地のすぐ上の山崩れの対応
以前筆者が担当した現場で、水源地のすぐ上の山崩れの対応をしました。
現地を調査すると山崩れのあったすぐ下が湧水の場所(水源)になっており、隣接して水道のパイプやタンクがありました。

 

▲水源地のすぐ上の山崩れ(長野市信州新町信級地籍、2020年6月撮影)
(この湧水は小規模な土砂崩れを引き起こしたが、通常は下流の集落の水源となるめぐみの水である。)

 

▲水源地の湧水をためるタンク(長野市信州新町信級地籍、2020年6月撮影)

このような場所では、上記アのような植生マット(鶏糞由来の肥料や土壌改良剤の入ったマット)を使用することはできないと判断し、代わりに防草シートを使用することとし、「契約不適合責任」を念頭に受注者様と打ち合わせをさせていただきました。

以上、「契約不適合責任」について、改正の経緯や実例をお話しました。
改正の経緯でさまざまな契約の不適合(トラブルや紛争)があり、その中で切ない気持ちややるせない気持ちになる方がたくさんいらっしゃったことを想像すると、言葉が変わったことを重く受け止めたいと思います。
そして、今後の実務にも生かしていきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

■参考、引用文献
・「入札 契約実務」全国建設研修センター 研修資料,2022
・最高裁判所ホームページ(2022年3月1日閲覧)

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