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“活気あふれる“善光寺・門前暮らし”を発信”(1)

I♥信州(あいラブしんしゅう)
“活気あふれる“善光寺・門前暮らし”を発信”(1)
コミュニティをデザインする企画編集室「ナノグラフィカ」

「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。


ナノグラフィカのメンバー・増澤珠美さん

『遠くとも 一度は詣れ 善光寺』の言葉どおり、長野県を象徴する名所である善光寺。
長野市はこの善光寺の門前町として発展してきた歴史があります。
善光寺を中心に広がる門前まちに、築100年の空き家をリノベーションして住みながら、門前の町並みとそこに暮らす人々を元気にする取り組みをしている方々がいます。
それが、企画編集室『ナノグラフィカ』。

第10回目のI♥信州は、ナノグラフィカのメンバー・増澤珠美さんと、ナノグラフィカで行なっている活動「門前暮らしのすすめ」をきっかけに移住された、Book&Cafeひふみよのオーナー、今井雄大さんにお話をお聞きしました。


■「小さな視点」で “まち” “人” “つながり” をデザインする
 ~企画編集室「ナノグラフィカ」の活動

無宗派・男女の性別・貴賎も関係なく、訪れるすべての人を受け入れる善光寺。
全国から年間約600万人もの参拝客が訪れ、7年に1度開かれる御開帳ともなると、およそ2ヶ月の期間中に、年間参拝客数に迫るほどの人々が足を運びます。
(前回、平成21年4月5日から5月31日までの御開帳期間中、673万人の参拝者が訪れました。)
人の往来で賑わう表参道から一本路地に入るとそこには昔ながらの古い町並みが広がっています。

善光寺門前の西之門町にある古い民家を改装してつくられた企画編集室「ナノグラフィカ」では、地元西之門町とそこで暮らす人々を紹介する「西之門しんぶん」や、長野市を中心に毎回ひとつのまちや地区を風景写真と手書きのイラスト地図でまとめた「街並み」の発行など、今までほかの人にはあまり知られていなかった、“まち”と“人”と“つながり”にスポットを当て、紙媒体を定期的に発行してきました。

企画編集室「ナノグラフィカ」の事務所は、喫茶やギャラリー、住居などを併設し、様々な催し、展示会、ワークショップなどが頻繁に開催され、また善光寺門前をエリアとした「空き家見学会」の開催など地域に密着した様々な活動を企画運営しています。


ナノグラフィカの始まりは、増澤さんが大学3年のときに出会った仲間と共同で立ち上げ運営してきた権堂の「ネオンホール」というライブハウス。
「ネオンホール」は古い廃屋を劇場とライブハウスに生まれ変わらせた建物で、生の表現の場として若者達から愛されています。 ネオンホールの営業を10年続けていく中で、今目の前に広がるステージの感動や興奮、長野の様々なシーンを形に残していきたいという想いから、新聞や雑誌など紙媒体の編集室として「ナノグラフィカ」が誕生しました。

「ナノグラフィカ」の名前は、極小を意味する「Nano(ナノ)」と「長野(ながの)」の頭尻の文字、出版・印刷・デザインなどの意味をもつ「グラフィック」をもじって付けられ、長野のまちを細かく小さな視点で取り上げるというメンバーの想いが込められています。

■「現実」がわからなければ「暮らし」につながらない

定期刊行物の発行などで門前の魅力を発信してきたナノグラフィカが、何故「空き家」「門前暮らし」につながっていったのでしょうか。

門前の文化を広める活動を続けるナノグラフィカの取り組みのひとつに「門前暮らしのすすめ」があります。

この取り組みが始まったのが2009年8月。
同じ長野市にある城山公民館の、長野県の「ふるさと雇用再生特別基金事業」(門前町再発見事業)の公募プロポーザルに参加したことがきっかけです。


増澤さん:「これまでに音楽とか展覧会とかフリーペーパーとか、自分達が面白いと思うことを、思いのまま形にしてきたのですが、それらは「暮らし」というキーワードでまとめられるんじゃないか、そうすると私達の活動の意味が通るし、他の人にもわかりやすく伝えられるんじゃないか、と思ったんです。
それで『門前暮らしのすすめ』というタイトルで事業を考えて、2年間は受託事業として活動しました。
受託期間は終わりましたが、活動自体は現在も変わらず継続しています。」

『門前暮らしのすすめ』の活動は、城山公民館が管轄するエリア全戸にアンケートをとることからスタートしました。
そのアンケートから見えてきたのは、門前界隈は住民の大半が高齢者で、空き家や廃屋が増え、町を担う若者や人が足りないと感じている人が数多く、ある意味一種の「限界集落」に近い状況にある、ということでした。
「住む人が増えれば町は元気になる!というコンセプトは、きっと住民のみなさんにも受け入れてもらえるだろう」と考えられたのが、現在の『空き家見学会』の前身である『空き家探検ワークショップ』です。

地区内の空き家を、個々の感性で利用法などワイワイと話しながら巡る、まさに「空き家」を「探検」する取り組みは、当時社会的に空き家が問題となっていたこともあり、メディアからも注目を集めました。

地区内にある空き家をくまなく調べ上げ、持ち主を当たり、見学させてもらえないかどうか・物件として提供してもらえないか大家さんと交渉し、晴れて空き物件となったものを門前で暮らしたい人々に紹介する…これを約2ヶ月に1回ほどのペースで現在までに25回開催されています。

増澤さん:「空き家を見て回るとある人にとっては「これはムリ…」と思うものでも、別の人にとっては「ここスゴくいいじゃん!」と、見え方がまったく違う。
人の価値観が交差し、変化していく瞬間に立ち会えるのがとても面白いんです。」

 
空き家見学会の様子(提供:ナノグラフィカ)

『門前暮らしのすすめ』の活動では、「空き家見学会」のほかにも、門前で暮らす楽しみや文化を発信しています。

市民参加型の演劇や、“手づくり”を集めて開催する「西の門市」、北信に伝わる盃ごと(さかずきごと)を学ぶ「北信流講座」、また盂蘭盆会や地蔵盆など善光寺で行なわれている行事にあやかった催しなど、移住者はもちろん地元の皆さんも楽しめます。


店内には長野在住の作家さんが作ったグラスや小物、
今までにナノグラフィカで発行した「街並み」などが並べられています。
取材当日は、これから始まる企画展「春のエプロン展」の打ち合わせが行なわれ、
みなさん持ち寄った作品を見たり、和気藹々とした雰囲気!

増澤さん:「城山公民館の職員の方から“あなたたちがやっているのは、地元の住民と新しく入ってきた住民との垣根を低くしていく、門前に来た人達をつなぎとめることなんだよ”と言われました。消防団や育成会は無理だけど私たちができることで、まちの人が喜ぶことがあるんじゃないか、ゆるいつながりで、移住者の方も居やすい場を作る、それには文化が必要だと思っています。」

しかし、空き家に住みたい人なら誰でもOKというわけではありません。

増澤さん:「私達がやっていることは不動産業ではありません。
私達が門前で大事にしていきたいものを伝えたり、いざ暮らすときのイメージを持ってもらう。夢見ている人にはちゃんと現実を伝えています。
お店をやりたい!と言っても“お店を開店すること”を目標にするのではなく、長く続けていってほしいから、そんなに儲かりませんから初期投資を下げてその分、ランニングコストに回してください、と言うこともあります。いろんな方法もあるよってことを伝えて、その人の選択肢を広げてもらいたいです。」

これからも新しい価値観を提供し続けていくことがチャレンジだ、と増澤さん。
ナノグラフィカは、紙媒体という枠を超えて、いまや町という有機的なものを編集し表現しています。


善光寺門前のコミュニティをデザインするナノグラフィカ。
門前町は、古き良き形を残しながらも新しい人々の活力で変化し始めています。

増澤さんは、エネルギーのかたまりのような方。
行動力・実現力で、周りを巻き込んでグイグイと引っ張っていく、バイタリティあふれる増澤さんやナノグラフィカによって門前界隈に新しい風が吹いている、と感じました。ナノグラフィカが次にどんなことをするのか、地元の住民のみなさんのみならず、各方面から熱い視線が送られています。

次回は、ナノグラフィカの活動のひとつ「門前暮らしのすすめ」をきっかけに長野県へ移住された、Book&Cafeひふみよのオーナー、今井雄大さんをご紹介します。お楽しみに。

■長野県長野市
長野県の北信地域に位置し、県政の中枢・長野県庁が所在する中核都市。
1998年・冬季オリンピック、長野オリンピックを開催した都市としても国際的に知られています。
善光寺の門前は、長野市・長野県の主要な観光地として、日々世界中から訪れる観光客でにぎわっています。

・ナノグラフィカ
http://www.neonhall.com/nanographica/

・門前暮らしのすすめ
http://monzen-nagano.net/

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