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“エンジニアからオーガニックファーマーへ”(2)

I♥信州(あいラブしんしゅう)
エンジニアからオーガニックファーマーへ
~わたしが育てる、あなたの野菜~(2)

「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。
第18回目のI♥信州は、1999年に京都府から上伊那郡辰野町に移住された志野勝英さんにお話をお聞きしました。
前編では、志野さんが辰野町に移住されるまでの経緯をご紹介しましたが、後編では志野さんの農場「オーガニックファーム「やじろべえ」」の取り組みなどをご紹介します。
◆前編はこちら


<生産者と消費者、お互いの“顔”が見えるお付き合い>

1999年に辰野町に移住された志野さん。
移住前からの夢であった有機農業家として約15年、「オーガニックファーム「やじろべえ」」を運営されています。
農業それ自体が環境に何らかの負荷を与える宿命を持っています。
何十年、何百年の時を経て生き続けてきた土地の自然環境と農業とのバランスを取りながら進めていきたいとの願いを込め、自身の農場に「やじろべえ」と名付けました。

志野さんがまず初めに育てた野菜は「ラディッシュ」。
収穫が早いこの野菜は、収入源を確保するためにも最適なものでした。
しかし、もちろんそれだけで生活が成り立つわけではなく、様々な野菜栽培を続けながら、販路も拓いていく…会社員時代とは別次元の難しさを味わいました。

志野さん:「サラリーマンは卒業。脱サラじゃなくて卒サラだといって百姓を始めたのですが、初めのうちは売り先を探しながら野菜を作って…と、とにかく必死でしたね。表面的にはなんとかなるさという感じで構えていましたけど。

有機農業を始めるにあたっては、流通ではなくて個人向けに宅配することをメインにしたかったので、京都の知人や妻の友人、あとは松本や塩尻で環境関係の講演【環境に関心のある方々が来られるでしょうし】に参加して発言したりして、宣伝していました。」

こうして地道に宣伝を続けることで、グループでまとめて購買してくれる消費者や、レストランへの販売など徐々に販路を拡大していった志野さん。
食材のプロであるレストランから、自分で作った野菜に対する評価をきっちりとしてもらえたことで自信にも繋がっていきました。

志野さん:「消費者の方に美味しいと言ってもらえることがもちろん一番嬉しいのですが、レストランからは野菜の特長を活かしたいろんな食べ方・調理の仕方を教えてもらえることもあって僕自身勉強になります。」

志野さん:「“生産者の顔が見える”って良く言うじゃないですか。消費者からしたら“生産者”の顔が見えるけど、生産者からしたら“消費者”の顔って見えないんですよ。
消費者の方がどう考えていてくれるかということが、生産者にとって一番の励みであり力でもあるのに、消費者の方の思いがフィードバックされない。個人向けにやっていきたいと思ったのは、そこなんですよね。お互いに“顔”が見える方法でやりたかったんです。」

消費者と生産者が結びつく農業が、志野さんの理念とする農業。
単に安心・安全というだけではなく、自分たち自身が口に入れたくないような作り方で作ったものは、お客様に出せないという強い信念を持っています。
一年目は三反だった畑も、二年目で五反、三年目で一丁と広げ、現在は志野さんと奥様でちょうど目が届く範囲の七反ほどに落ち着き、育てる野菜も今では60種類以上に増えました

志野さん:「お客様から『この野菜作れない?』って言われたらなるべく作るようにしています。ルバーブのジャムを作ってみたいから、ルバーブを作ってほしいとかね。
一般的な野菜セットの宅配といえば、じゃがいも・にんじん・玉ねぎ…みたいに決まった野菜を決められた量だけ詰め合わせることが多いと思うのですが、私たちの野菜セットはお客様それぞれの好みに合わせた完全オーダーメイド。
“この野菜はあんまり…”と言われればセットから抜くし、“この野菜が美味しかったからたくさん入れて”と言われれば多めに入れる。電話で注文受けたときや、配達にいったときに要望を聞いて、家族の人数や好みに合わせてお届けしています。
だから、私たちの畑というより自分の畑のように思ってくださる方が多いですね。」


ご夫婦二人の所には、量は少ないけど種類を多く、人数の多いご家族には、種類は少ないけど量を多く…と、消費者のニーズに合わせたスタイルは、お客様からも好評。オーガニックファーム「やじろべえ」の野菜セットには、届ける野菜がどんな野菜なのか・どんな料理方法が向いているかをひとつひとつ記したチラシ、『NORA』を入れています。
志野さんの奥様が手書きで作ったもので、一枚の中にはイラストを交えながら、野菜の情報がびっしりと書き添えられています。こうした志野さんご夫妻の姿勢が、消費者のみなさんの信頼に繋がっているのです。


「冬はやっぱりみかんを食べたい
お客様が多いから」と熊本の有機農家
から取り寄せて野菜セットに詰めています。

志野さん:「それぞれのお客様に合わせてセットを作っているので、みなさんのそれぞれに思い入れがあって、お客様と長くお付き合い出来ていることが本当に嬉しいです。
あるお客様が“孫はここのトマトしか食べないんだ”と言ってくださったときがあって…それは嬉しかったですね。
有機農業家としてここまでやってこれたのも、人とのつながりがあったから。
また、辰野町の皆さんにも、農業を始めるにあたり、家や土地を探すにあたりと大変お世話になりました。良い地元に入れてもらったなと思っています。」

<移住を考えている方に向けてメッセージ>

最後に、志野さんから移住を考えている方に向けてのメッセージをお聞きしました。


志野さん一家の愛犬・リクちゃん

志野さん:「移住先で農業をやりたいという方は、県の農政課や各地域の就農案内人に問い合わせてみるのが良いんじゃないでしょうか。あと、都会での生活方法や考え方をそのまま田舎に持って来るのは考えものですね。

例えば、トラクターが家の前をドロドロのタイヤで通って掃除もしないと、苦情を上げる方もいるのですが、元々トラクターはその道を通ってたんですよ。住んでる村の人の生活は変わらないのに、それを一方的な都会の考えで苦情にするのはちょっと違うんじゃないかなと思います。
都会の判断基準でものを考えないこと、そこを理解して気をつければあとはなんとかなります。」

志野さん:「よく信州は寒いって言われるけど、寒さには慣れます。一番初めに引っ越したところは昔の文化住宅みたいなところで、窓が凍りついて開かなくなるくらい寒かったんですが、それも一年すれば慣れましたから。単にインターネットの情報だけじゃわからない。足を運んでその土地の人たちと直接話しをすることで、良いところも悪いところも自然に見えてきます。とにかく足を運ぶこと。

情報を眺めて考えていても始まらないし、いつまでたっても決められないですよ。」

志野さんが現在住んでいるご自宅は、自身で建てたログハウス。ボランティアを募り、一年かけて形にした自慢の家です。
里山に佇む志野さんのログハウスは、自然の流れに沿って徐々に周りの景色に溶け込んでいきます。

「家造りに興味のある人は結構いるので、声をかければ集まってくれると思います。このログも沢山の人の力を借りました。完成するまで後2・3年くらいはかかるとおもいますけど妻と二人でのんびりと楽しみながら造ります。」と笑いながら話す志野さんは、エンジニアではなくすっかりファーマーの顔。

今、信州は秋から冬の季節へと足早に移ろい、辺りはすっかり冬景色。
新しい芽吹きの季節に向け、理想の農業に取り組む志野さんのチャレンジはこれからも続きます。
温かみのある辰野町で、志野さんの暮らしのサイクルはゆっくりと回り続けます。

【インタビュー時期2013年12月】

●長野県では、東京・有楽町の東京観光情報センター内に「長野県移住・交流センター」を開設し、県内各市町村とも協力しながら移住に関する取り組みに力を入れています。
また、名古屋・栄、大阪・梅田の各観光情報センターに「移住・交流サポートデスク」を開設し、中京圏や関西圏からの移住をサポートをしています。
信州への移住に関心のある方はお気軽にご来場ください。

また、移住に関するセミナーや相談会、体験ツアーなどが長野県内各地域で行われています。
移住に興味を持たれている方や信州を知りたい方など多くの皆様のご参加をお待ちしております。

信州へ移住を考える人のポータルサイト
田舎暮らし 楽園信州 http://www.rakuen-shinsyu.jp/

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