信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

元プロスキーヤー×スノーリゾート vol.2

2009年秋、野沢温泉に戻ってプロジェクトをスタートさせた上野さん。同年8月に結婚した、妻のマナミさんも一緒に活動を始めます。

生まれ育った場所で、スキーの魅力を伝えたい

- 野沢温泉に戻ってきて、お店を始めようと思ったのは?

上野さん)
いずれ戻ろうとは決めていましたが、何をするかは、漠然としていました。選手活動を終えて、セカンドキャリアを考えたときにかなり悩みました。結局、たどりついたのは、このフィールドでスキーに関わることで、その魅力をもっと伝えることができるんじゃないかということ。そのための拠点を持ちたいと思いました。

- お店は、活動拠点のようなイメージで?

上野さん)
そうですね。例えば当時、道具については、海外と比べると日本は何年も遅れているような状態でした。こんなに快適に滑れる道具がたくさんあるのに、情報が行き渡っていない。冬には何万人ものスキーヤー、スノーボーダーが来るのに、道具のメンテナンスやサポートをする場所もない。そこで、お客さんに合った道具を貸し出して一緒に滑ったり、メンテナンスをしたりという活動から少しずつ、プロジェクトをスタートしました。

- お客さんの反応は?

上野さん)
一緒に滑るとすごく喜んでもらえて。スキーの楽しさに行き詰っていた人が、「こんなに面白いんだ!」って笑顔になってくれることもありました。そういう経験が、情報になっていく。妻の活動のサポートや、ソチオリンピックのこともあり、徐々にさまざまな情報が広がっていきました。

- マナミさんは野沢温泉に移住してどうでしたか?

マナミさん)
移住に関しては、特に問題なかったですね。私は生まれも育ちも横浜ですが、子どものころからアウトドア好きの父に、夏は山や川、海、冬はスキーと、自然の中で生きる術を教え込まれていたので、それを存分に楽しめるフィールドで暮らせるというのは嬉しいです。

- じゃあ、意外とすんなり馴染んだ感じで。

マナミさん)
私自身、気軽に誰とでも仲良くなれるタイプということもありますし(笑)。スキー選手の中には野沢温泉出身の人も多くて。移住する前から、ここに来ると大会でいつも顔を合わせる仲間たちがたくさんいました。

- プロジェクトを始めてからは、二人で活動を?

マナミさん)
こっちにきてしばらくして、フリースタイルスキー・ハーフパイプがソチオリンピックの新種目になる、ということが分かって。結婚・出産もあって一度、引退していたんですが、あまりブランクのない状態でチャレンジできるということで、もう一度挑戦しようと。そうなって初めて、オリンピック選手比率が日本一という、村の力を知りました。

- 確かに野沢温泉はオリンピック選手が多いですが、村の力というのは?

マナミさん)
オリンピック選手を輩出するという一大行事に慣れているというか、協力体制がしっかりしているんです。夫はこの土地で育ってきたので普通のことに感じていたかもしれませんが、私は初めてで、しかも他人事ではなく自分事だったので…すごい村に嫁いできてしまった、と思いました。

- そんなにすごいんですね…!

上野さん)
住んでいる者からするとこの村は、コンパクトビレッジとしてまとまっていて、コミュニティもしっかりしています。何かあったときにも心強いですし。

- 今、お店はここと、スキー場の2拠点で?

上野さん)
ここは道具やウエアの販売、上はゲレンデガイドというか、遊び方の提案やサポートをするという位置付けです。それ以外にも、プロジェクトとしてフリースタイルスキーのジュニアの大会をやっています。野沢温泉だけではなく、白馬や戸隠など、シリーズ戦のような展開になってきているので、県外にも広げていきたいです。

- 子どものころ、上野さん自身が目標としたような大会に。

上野さん)
子どもたちが、目標や夢を持てるような場があったらいいなという思いがずっとありました。今後も、店と育成、両方をしっかりやっていきたいですね。


2011年、「Compass Cup」として始めた大会は、「Japan Jr Freeski Open」としてフリースタイルスキー競技(スロープスタイル&ハーフパイプ)U18男女の総合チャンピオンを生み出す、国内最大・国内唯一のシリーズ戦となっています。この大会から、未来のオリンピック選手が生まれるかもしれません。

PROFILE
1981年、野沢温泉村生まれ。2歳でスキーを履き、小学校中学年ごろから本格的な競技スキーを始める。大学卒業後にプロスキーヤーとして活躍。2010年シーズンに、故郷へ戻り「Compass Project」をスタート。プロジェクトの情報発信基地となるショップ「COMPASS HOUSE」を構え、フリースタイルスキーの普及やさまざまなスノーアクティビティを提案している。

LINEで送る

このブログのトップへ