信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

映像作家×ゆる山 vol.2

スキーの住み込みバイトから7年間白馬で過ごした井上さん。いったん東京で就職して、再び白馬に戻ってきたのは32、3歳のころでした。ここからは、井上さんと妻・のぞみさんのお二人に伺います。

変化を恐れず、自分が心魅かれるものを

- いずれは白馬で暮らしたい、という思いはどこかにあったんですか?

井上さん)
いや、まあ、そういうわけでもないんですが(笑)。東京にいたときから、冬は毎週、白馬に滑りに来ていました。まあ、勝手知ったる土地という感じで、どこに行けば何があって、どうやって家を借りればいいかも分かっていたので、引っ越ししやすいというのはありました。

- なんとなく、会社辞めたら白馬に行く、みたいな?

井上さん)
そんな感じですかね。こっちに来てからも、東京のゲーム会社から仕事をもらっていたので、それをしながら、スキーに行って。バックカントリーもやっていたんですが、その下見が、最初の登山でした。

- トータルすると白馬の生活は結構長いのに、登山はしてなかったんですね。

井上さん)
自然は好きだったんですが、山自体に興味はなかったんです。知り合いに頼まれて、バイトで登ったことはありましたが、あまり天候に恵まれなくて。ずっと白馬に住んでいたのに、白馬三山のどれが白馬岳かわからないような状態でした。それで、登りに行くときに貧乏性なのでカメラも持っていって、撮ったから作る、みたいなところが始まりですね。

- じゃあ、最初からストイックな感じというよりは、ゆるい感じの。

井上さん)
「ゆる山」ですね。ハードだと見ていても疲れるじゃないですか(笑)。もともと、スキーの映像もフリースタイル系だったので、音楽やカット割り、撮り方も含めて楽しい感じなんですよね。自分が見てきたものもそうだったので。

- 自分の撮りたいものを、撮っていると。

井上さん)
そうですね。「よし、これを仕事にしよう!」というつもりも特になかったです。

- でも、見ていると「ゴキゲン」というのがピッタリきます。

のぞみさん)
私が最初に見たときも、「なんだか気持ちがいい映像だな」って感じたんです。人間っていうのは基本、リズムがあるので、視覚と音楽、リズムが重要なのかなと思っています。

井上さん)
音楽は大事ですね。それこそ、少し前までは音楽で7、8割決まると言っていたくらいで。音楽によって全然映像が変わっちゃうんです。同じ素材を使っていても、全く違う映像にすることもできますし。僕の場合は撮影もしているので、どんな素材があるかは事前に頭の中にあるんですが、その状態から音楽を選んで、それをベースに引いて映像をはめていく感じですね。

- 音楽はどうやって選ぶんですか?

井上さん)
なるべく自分が好きなものですね。でも、20代のころと今とでは好みも変わってきましたし。60歳くらいになったらクラシックを使うのもいいなって思うかもしれない。たまに昔の作品を見ると、「しょぼいなー」って思うこともあるんです。あるんですが、変わってきているなって。そこで変わらなくなったら、正直、終わりなのかなとも思うので。

のぞみさん)
一緒にいて感じるのは、高校時代、まだウインドウズが出る前からパソコンに親しんできたのと、小さいころにピアノを習っていた…、本人は練習しに行ってたと言いますが(笑)、それで音楽のバランスも割とあるな、と。リズムに乗せたり、急に切り替えたり、そういうところが人の目を引くのかも…と客観的には思います。


実はのぞみさん自身も、その映像に引かれた一人。「山が好きで、山の映像もよく見ていましたが、今までのものとは全然違って、楽しくて」、思わずメールを送ったそうです。「最初は警戒しました。新手のひっかけじゃないかと」と笑う井上さん。結婚後、しばらく白馬で過ごし、2年ほど前に現在の安曇に引っ越しました。次回は安曇での暮らしと、これからのことを伺います。

⇒「映像作家×ゆる山 vol.3」

PROFILE
1974年、東京都町田市生まれ。長野県松本市在住。ノンリニア映像編集の初期からスポーツ映像(テレマークスキー・MTB・スノースクート)の制作活動を始め、その後、ビデオゲームのプロモーション映像、TVCM等の制作、ディレクションを手掛ける。現在、「HAPPY DAYZ PRODUCTIONS」として、自然を対象にした映像・写真などクリエイティブ活動を行う。山については「ゆる山」がモットー。

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