信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

山×プログラマー vol.2

的場さんが会社員として働く傍ら、制作・運営していた「ヤマレコ」。2013年、12年と2カ月勤めた会社を辞めて起業し、翌年には松本に移住するという、人生の大きな転機を迎えます。その背景にあったものとは…?

気持ちが切り替わったタイミングを大事にしないと、手遅れになるかもしれない

- 会社員を辞めて起業、というのは結構勇気が要りますよね。

「ヤマレコが成長している」という感覚があったのが大きかったですね。「ユーザーがいる」=「サービスとして魅力がある」という自信はありました。市場としてはニッチで、大手企業が入ってくることはあまりないと思っていたので、この分野に絞ってやれば、ある程度はいけるだろうと。

- もともと独立願望は?

それはあまりなかったですね。実は起業する前の1年間は、アメリカに留学していたんです。シリコンバレーにいて、いろんな人が起業するのを目の当たりにして。

- そのときに的場さんも?

いえ、そのときに思ったわけじゃないんです。留学中も「ヤマレコ」はやってましたけどね。アクセスが耐えきれないからサーバーを増やさなきゃって、ゴールデンウィークに帰国して、秋葉原でパソコンのパーツを買って組み立てて、データセンターに置いてアメリカに戻って(苦笑)。

- じゃあ、きっかけになったのは何だったんですか?

帰国して半年くらい経ったころ、同じ機能を持ったサイトがリリースされるというニュースが入ってきたんです。でも、自分はもう忙しくて新しい機能を作ることができなかった。ユーザーからの問い合わせの対応に平日はかかりきりになっていて、何かやろうとしても週末にまとめて時間をとる以外の方法がなかったんです。両立が難しくなってきた。

- それで「ヤマレコ」の方を選んだんですね。周囲から反対されませんでした?特に、奥様とか。

収入面でも何とかなりそうな目途は立っていましたし。辞めること自体に、妻は何も言いませんでした。ただ、すぐ辞めると留学費用を返さなきゃいけなかったので、「3年待て」と(笑)。

-でも…待てなかったんですね(笑)。

ホワイトボードに「あと何カ月」と書いていても、数字が全然減らないんですよね。それで、やっぱり辞めるわ、って。気持ちが切り替わったタイミングを大事にしないと、あとで同じことができるかというとそうでもないだろうし、手遅れになるかもしれない。

-確かにそれは大事です。

機会があったらすぐに飛び込んでいく、という感じで生きてきたんですよ。ずっと。

-迷いや不安はなかったですか?

ライバルのようなサービスも出てくるので、常に危機感はありますよ。でも、自分で作っていると、使い方も一つしか思い浮かばないけど、誰か使ってくれる人がいれば、そこで自分が思いもつかないような使い方を知ることができる。そこから始まるんです。新しいことを知るのが好きな性格なのかもしれませんね。

-「ヤマレコ」を続けていて、楽しいことは?

ユーザーは、ダメなことはダメって言うんですが、いいことはいいって言ってくれないんですよね。黙って使う。だから、皆が使ってくれているうちはいいのかなと思っています。最初のころは、誰も使ってくれないから辞めようと思ったこともありましたが、使ってくれている人がいると感じるようになってからは頑張れました。

-じゃあ逆に辛いことは?ユーザー対応などは大変そうですが…。

まあ、ログインできないというようなシステム上のものから、コミュニティなので人と人とのトラブルまで、いろいろあります。ユーザー同士のことはどうしようもないので、そこは「どうしようもない」と言うしかないんですけど…。でも、そういうことも含めていろいろあって楽しいですよ。


「ところで、なぜ松本に?」と聞くと、「妻が、いつか松本に住みたいと言っていたので」という答えが。当時、東京・有楽町にあった県の移住センターに相談して、1年間は「松本・四賀クラインガルテン」(滞在型市民農園)を利用して、月に2~3回、畑を耕しに来ていたそうです。「そのうち、『月に何度も行くんなら、松本に住んだほうがいいんじゃない?』ということになって、引っ越しました。山に近いというのは、自分にとっても嬉しいことだったので」と的場さん。次回は、「そもそも、山に興味を持ったきっかけは?」というところを伺います。

PROFILE
1977年、千葉県生まれ。10歳から大学院卒業までを関西で過ごす。2001年から株式会社富士通研究所でネットワーク技術の研究員として研究開発に従事。2005年、仕事をする傍ら山のコミュニティサイト「ヤマレコ」を開設。開発から運営管理までほぼ一人で担う。2013年に株式会社ヤマレコを創業。2014年12月に松本へ移住。

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