信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

国立公園の環境を、このまま未来へ引き継いでいく

上信越高原国立公園は、苗場山、草津白根山、四阿山から浅間山に至る広大な公園です。その中央部に位置する志賀高原。2011年から環境省の自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)として志賀高原を担当する則武さんに、さらに詳しくお話を伺います。


山頂を目指す以外の楽しみ方を

- 志賀高原の状況は最近どうですか?

志賀高原は冬のイメージが強いので、夏の利用者を増やそうと地元の人もいろいろやっています。夏は観光客以外にも、塾の勉強合宿や音楽系の合宿もあります。「総合会館98」という長野オリンピックの年にオープンした複合公共施設があり、カレッジコンサートなどの企画がされています。

大沼池で昼食中の利用者

- 則武さんが思う、志賀高原の魅力は?

志賀高原の特徴は池がたくさんあることと、湿原が多いところだと思います。高いところは2300メートルくらいで、登山コースもあれば、トレッキングコース、散策コースなど「お散歩気分」で行けるところもあって、さまざまな楽しみ方ができるのが魅力の一つです。原生的な林もあればシラカバの林もあって、車窓から眺めていても変化に富んでいて面白い。始めから歩こうと思っていなくても、車で来て、ちょっと降りて歩いてみようかという感じで楽しめます。

四十八池湿原

- 気軽に利用できるんですね。

ピークを目指さなくも、近くに自然がありますから。林、池、高層湿原、温泉もあって、宿泊施設も充実しています。ここは溶岩地形なので地形に興味がある方にとっても魅力的だと思います。山というと、つい山頂を目指すことを目的にしてしまいますが、裾野も含めて山全体と捉えてもらえれば。

- 志賀高原は「ユネスコエコパーク」にも認定されていますよね。

ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)は、生態系の保全と持続可能な利活用の調和、自然と人間社会の共生を目的にしています。「保全機能」、「経済と社会の発展」、「学術的研究支援」の3つの機能を持つ地域がユネスコエコパークとして登録されます。実は世界遺産より古い歴史を持っているのですが、まだあまり認知度が高くないかもしれません。最近は、山ノ内町が集客につなげようとPRに力を入れています。


これから山へ登るであろう人たちに、魅力を伝えていきたい

- 利用者に対して、何か気をつけてほしいことはありますか?

行こうと思って来る方は、それなりの準備はしていると思うので特に問題はないと思います。中には、その靴で大丈夫かな、という方もときどき見かけますが。

あとは、野生動物がいるのは当然なので、そう思って歩いていただければ。利用者の多いコースには金属の棒を2本置いて、ぶつけると音がなるようにするなど、人がいることを知らせる工夫を地元の方がしてくれています。動物が暮らしている場所に、私たちがちょっとお邪魔しているという感じですね。こちらが気を付けなければならないことなので。人がたくさんいるコースは過度な心配はしなくても大丈夫だとは思います。

- 今後、アクティブ・レンジャーとして取り組んでいきたいことはありますか?

国立公園の環境を今のまま引き継いでいくこと。それが私たちの仕事です。そのためにできることをやっていくというのが一つと、あとは、多くの方に利用していただくために情報発信をしていかなければと思っています。例えば、利用される方が歩くにしても、ただ歩くだけでは面白くないので、ポイントや見どころなどを伝えるようにしていきたいですね。

- 現地の様子を知ると、行ってみたいという気持ちになります。

アクティブ・レンジャー国立公園写真展の準備

今は、情報発信の手段の一つとしてホームページで「アクティブ・レンジャー日記」というブログを公開しています。あとは、アクティブ・レンジャーが撮影した国立公園の写真展を県内各地で開催しています。魅力を伝えることが動機づけになりますよね。自分に子どもがいることもあって、特に子どもたちや若い世代の人たちにもっと山の魅力を知ってほしいと思います。これから山へ登るであろう人たちに向かって、「山はいいところだよ」ということを。

- もっと多くの人に利用してもらいたいですね。

志賀高原が国立公園だということを、どのくらいの方が知っているのか分からないのですが、やはり国立公園ということを意識して利用してもらえるといいと思います。国立公園は一つのブランドのようなもの。「国立公園=自然がたくさんあるところ」ということを広めていくことができればいいですね。そのためにも、私たちもしっかり情報を発信していきたいと思います。


長野県に移住したきっかけの一つに、山に近いところに住んでみたいという気持ちがあったという則武さん。「今でも、山が夕焼けに染まったり、太陽が出てくるのを見たりするときは感動します」と話します。仕事が休みのときはお子さんと一緒に山へ行くこともあるそうですが、「興味がないわけではないが、頻繁には行きたがらない(苦笑)」とのこと。子どもたちに山の魅力を伝えるには、まず親たちから。則武さんの取り組みは、まだまだ続きます。

PROFILE

1968年生まれ、愛知県出身。広島の大学に進学し、植物学を専攻。その後、民間企業に就職し、自然環境調査やビオトープの設計・提案に携わる。その後、長野市に移住し民間企業を経て2011年4月に環境省・自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)に。現在は上信越高原・志賀高原と中部山岳・後立山の2つの地域を担当。

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