信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

「究極のプレス技術」で常識を打ち抜く

信州魅力人では、新シリーズ「信州起業人」がはじまります。
テーマはずばり、メイドイン信州の“すごいものづくり”。技術や匠の技をクローズアップすると同時に、ものづくりを支える“起業人”たちの魅力に迫っていきます。
1回目のテーマは、自ら「究極」と名付けたプレス技術です。
プレスとは、上下から圧力をかけて紙パンチのように金属板を打ち抜く加工法で、低コストで量産可能。クルマや電子機器・家電製品などの部品製造で広く用いられます。
岡谷市のスギムラ精工社長・杉村博幸さん(41)は、ものづくりの基本工程ともいえるプレス業界で、これまでの業界の常識を‘打ち抜く’独自の加工技術を開発しました。
従業員20数名の町工場(まちこうば)から生まれた新技術に迫ります。

小さい会社だからこそ生まれた新しい技術

-スギムラ精工は、どんな会社ですか?

金属プレス加工の会社で、おもに自動車関連の部品を量産しています。金属プレスというと、プレス機が打ち抜く加工なので、一見すると単純。しかし、実は奥が深い。難しい加工がたくさんあります。単純な加工ゆえに、海外に流れやすい部品です。だからこそ、あえて難しい加工をターゲットにしています。

地震や円高の影響も受けていますが、若干です。受注も変わらず好調。忙しいですね。こういうときこそ、まさにチャンスだと思っています。原料や機械を買うには安くなるのでチャンスだし、自分たちの元気さをアピールするにもチャンスですね。


-スギムラの代名詞とも言える「究極」のプレスとは?

ULB工法という技術です。
UL:アルティメット(=究極)、B:ブランキング(=せん断)の略で、「究極の」せん断加工です。(※プレス加工の中でも、金属を切り落とす加工を「せん断加工」という)せん断面が100%で、まるで切削加工をしたような綺麗さで仕上がります。簡単にいうと、1回打ち抜いただけで、仕上げ磨きをしたような加工が可能です。

通常のせん断加工では、切断したときに角が丸まってしまう「ダレ」や、ギザギザな部分の「破断面」を削るなどの後処理が必要ですが、うちの部品はそのまま使うことができる。だから、部品が安くなるというメリットにつながっています。

この技術は、力を加えると形が変わる金属の基本原理「塑性(そせい)理論」に基づいた工法の開発によって実現できています。ポイントは金型の構造やセッティングにあります。


-なぜ、新技術が開発できたのですか?

究極のプレスは、規模が小さい会社だからこそできたと思います。

大手企業は、開発にあたり各部門に分かれていると思います。そうなると、責任の所在が不明確になってしまって、前に進むことができないと思うんです。

逆にうちの場合は、特定の人間が設計からトライまで関わっていかなくてはいけない。だからこそ、真剣の度合いが違うというか、やるしかない状態に追い込まれてやれるから、新しい技術が開発できたと思っています。

開発した人間が、加工されるシーンを実際に見るほうが得ることが大きくて、そういったことも近道になったのかなと思いますね。


切り抜かれた金属部品の内側を見ると、鏡のような切り口に驚きます。この「鏡のような切断面」こそ、スギムラ精工独自の究極のプレス加工の特徴です。スギムラ精工の部品は、クルマの中でもとくに精度が求められる部品として使われています。高い精度や低いコスト、さらには量産できる点が自動車メーカーから高い評価を受けています。技術力が認められハイブリッドカーにも採用されました。

究極のプレスを研究開発したのは杉村さん本人。2008年7月に創業者・杉村槙博さんから会社を引き継ぎました。(自ら開発した技術を、謙虚に語る姿が印象的でした。)
次回は、会社を引っ張る経営者としての杉村さんの魅力に迫ります。

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