自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

~自然に触れる、学ぶ、そして守る~ 自然環境や生物多様性、自然体験型ツアーについての情報をお届けします。

鍋倉山(信越国境・関田山脈)

 長野県と新潟県の境をなす関田山脈は、麓の飯山市から眺めると延長数10キロにわたり標高1000m前後の山々が緩やかに弧を描いて連なる、美しい山脈です。





 標高はそれほど高くないものの、この山域は冬に日本海側から吹き付ける季節風を受け止めて、山と里に大量の雪を降らせます。そして、その豪雪の中で見事なブナの森が形成されています。6月の関田山脈は、まだ稜線沿いの登山道のところどころに雪が残り、春と夏が同居している不思議な空間になっています。
 山脈の中央にある関田峠から、徒歩約1時間で最高峰の鍋倉山(標高1288m)に至ります。稜線を歩くと、新潟県側が鋭く切れ落ちた急崖になっているのにたいし、長野県側は比較的緩傾斜で、稜線近くに池や湿原も見られます。稜線を境にしたこの斜面形態の違いは何によるものなのでしょうか。
 これは、基本的に地層の向きと傾きの影響と考えられます。このあたりには100万~200万年くらい前の硬い火山噴出物が厚く堆積し、その地層の多くは東ないし南へ30°~40°傾斜しています。そのため、長野県側の斜面の傾斜と地層の傾斜は同じ方向に、新潟県側の斜面傾斜と地層傾斜は逆向きの関係になります。このような地層と斜面との関係については、前者を「流れ盤」、後者を「受け盤」と呼ぶこともあります。それが斜面の侵食の仕方を大きく左右し、長い時間をかけて山の形態を決めることになります。地質構造に規制されてできた明瞭な非対称山稜であるため、ケスタ地形の一種と見ることができます。

 この関田山脈の稜線沿いには、気持ちよく整備された延長80kmにも及ぶ登山道「信越トレイル」があります。今年4月に亡くなられたバックパッカーの加藤則芳氏は、自身の山旅への夢と希望をこの信越トレイルに託しておられました。ここは日本におけるロングトレイル発祥の地であり、山頂を目指すよりも歩くことそのものを楽しむのがおススメの山といえます。ゆっくり歩きながら、山の形の秘密や美しいブナの森を味わってほしいと思います。先週歩いた時には、新緑と残雪、そしてユキツバキとタムシバの花々が静かに迎えてくれました。

~ 残雪の一期一会の山の旅 ~

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