自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

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念通寺断層(活断層がつくった伊那谷)

南アルプスと中央アルプスの両山脈にはさまれ、天竜川に沿って北から南に続く幅広い谷が信州伊那谷です。この谷や、谷沿いにみられる見事な段丘の連なりは、かつては天竜川が造りだした地形といわれました。しかし、その後の研究の進展により、これらの地形を造りだした主役は活断層を伴い今も進行中の地殻変動であることがわかってきました。活断層というのは、その名のとおり「活きている断層」という意味で、その活断層の連なりは伊那谷断層帯と呼ばれています。このような活断層が動けば、直下型の地震が起こることになります。伊那谷断層帯と、想定される地震との関連について詳しく知りたい方は、以下のウェブサイトを参考にしてください。http://www.jishin.go.jp/main/chousa/02jul_ina/index.htm

 伊那谷の活断層の代表として「念通寺断層:ねんつうじだんそう」が知られています。これは、飯田市松尾の常磐台付近から上川路付近にかけての延長約5㎞にわたって追跡される断層です。断層の西側には約40mの高さの崖が連続し、崖上の台地には、古い山城の跡やお寺などが点々と続きます。そして、松尾城跡と鈴岡(城跡)公園との間を西から東に流れる毛賀沢川という川の中に、念通寺断層を直接見ることができるとても貴重な場所(露頭:ろとう といいます)があります。



写真の中央にあるのは、長さ28㎝のハンマーです。シャープな断層面を境にして、ハンマーが置いてある茶色っぽい砂礫層の上に、白っぽい石が載っている様子をご覧ください。白っぽい石は、伊那谷や中央アルプスの土台をつくる花崗岩で、断層運動で破砕され軟らかくなっています。ありふれた崖のように見えるかもしれませんが、ここには十数万年から繰り返し動いてきたと考えられる活断層によって、伊那谷や中央アルプスをつくる花崗岩岩盤の西側が持ち上げられ、それが天竜川が運んできた砂礫層の上にのし上げている証拠がはっきりと記録されています。
 そもそも断層の露頭というのはもろくてくずれやすく、放っておくと草木が茂ってしまうことも多いのです。そのため、活断層そのものが見えることはまれです。希少で貴重な断層露頭ですが、野外においてきれいな状態のままで保存するというのは簡単なことではありません。この露頭の保存には地元の方々の献身的なご協力があります。この日は、案内をしていただいたM先生と二人で、二時間ほどかけて露頭の手入れを行いました。

 ちなみにこのすぐ上流には、毛賀沢秘境と呼ばれ、里のなかに突如として立派な滝と峡谷があらわれる場所があります。夕方、作業を終えて汗をかいた身体に、滝が心地よい風を送ってくれました。

<M先生持参のビスケットをおやつに>

~ビスケットかめば三日月 夕涼み~

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