自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

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蓼科山(姿よろしき眺望の山)

梅雨の晴れ間をついての、蓼科山の紹介です。
八ヶ岳連峰はその名のとおり南北に連なるたくさんの火山の集合体です。日本列島中央部にあって約130万年前から噴火と休止を繰り返してきました。その中で、蓼科山(標高2530m)は連峰の北の端にあり、他の山からすこし離れた独立峰のように立っています。よく整った円錐形の山体は諏訪富士とも称されていて、遠くからでもよく目立ちます。あたりまえですが、遠くから見える山は、遠くを見渡せる山でもあります。




 蓼科山は100万年以上前の古い噴火活動の上に、数万年前に溶岩ドームをつくった新しい活動が重なった火山です。山頂直下の高度差100mほどの区間は溶岩の岩塊が積み重なる急な登りですが、それを過ぎると突然直径200mくらいの不思議な平坦地が開ける山頂部になります。空隙の多い岩塊と強い風がもたらすはげしい乾燥のためでしょうか、山頂部には土壌がほとんどなく樹木もありません。そのため、360度のすばらしい眺望が開けます。

 南には赤岳などの南八ヶ岳の峰々が迫り、西には屏風のような日本アルプスの山なみ、東には煙たなびく浅間山に連なる上信越の山々、その東西の間には霧ヶ峰や美ヶ原などの高地が広がります。さながらここは、信州の著名な山々の展示場です。

 ところで眼下の蓼科山荘を振り返ると、その先の前掛山の南斜面に特徴的な縞模様がみられます。これは八ヶ岳の亜高山帯針葉樹林内に典型的に見られる「縞枯れ」と呼ばれる現象です。

 シラビソやオオシラビソの森林の一角が同一の高度で縞状に白く枯れていますが、この枯れた部分が年に2mくらいの速度で徐々に上方に移動してゆくのだそうです。枯れた跡には幼樹が育っており、森林の天然更新がすすんでいます。八ヶ岳のきびしい気象条件がつくる興味深い自然現象です。

 今の時期、まだ人の少ない麓の牧場には、数頭の馬たちが静かにたたずんでいました。

  ~ 梅雨晴間 すっくと立ちぬ馬も山も ~

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