来て!観て!松本『彩』発見

歴史と伝統の城下町松本。のどかな田園風景安曇野。そびえたつ雄大なアルプス。自然と文化に彩られたまつもと地域の情報を、松本地域の県職員の発見を織り交ぜつつお届けします。 面白いこと新発見、知ってる人にも再発見、何だこれはの珍発見。当たり前だと思っていたことから、ローカルなことまで職員の発信する情報をお楽しみください。

松本地域の伝統工芸『松本押絵雛』

まだまだ寒い日が続きますね。
ソチオリンピック開幕も間近に迫り、ウィンタースポーツに打ち込むのもいいですが、やっぱり暖かい春が待ちどうしいです。

さて、春といえば何を思い浮かべますか?桜、卒業、新生活、花粉症…
いろいろありますが、忘れてはいけないのがひな祭り。私の実家でも床の間にお雛さまが飾ってあったことを思い出します。
ところで松本の伝統的な特産品に『押絵雛(おしえびな)』という布で作る雛人形があることはご存知でしょうか?



今回は全国で唯一、松本押絵雛を製作・販売している『ベラミ人形店みむら』さんをご紹介します。

こちらがお店の外観。何とも言えないレトロな雰囲気。


店内はこんな感じ。たくさんの人形が並んでいてまるで博物館のようです。でも昔の駄菓子屋のような、どこか懐かしい空気も感じます。


こちらが店内に飾ってある押絵雛。とても布で作ったとは思えない立体感と豊かな表情に思わず見入ってしまいました。
※店内は写真撮影禁止ですが、今回は特別に許可をいただいて撮影しています

これらは着物の素材から一つ一つオーダーメイドで丁寧に手作りするので、三人官女や五人囃子などが勢揃いした『十五人揃い』を納めるには5年もの歳月がかかるそうです。

では、どうやったらこんな立派な人形が作れるのでしょうか?
押絵雛は次のような行程で製作します。

①まずは紙に元絵(下絵)を描きます
②元絵から分解図を起こし、厚紙に張って型紙にします
③型紙の上に綿をのせ、各部分に合った布で包み立体感を出します(顔も同様に包み、表情を手書きします)
④元絵に合わせて③で包んだ各部分を組み合わせて貼り、裏打ちして完成

各工程すべてが手作りなので、一つとして同じものはありません。

押絵雛の歴史は古く、江戸時代には庶民のお雛様として地方を中心に全国各地で作られていました。特に松本は全国的な産地として有名で、士族の妻女が製作して商人が売り歩く形で県内のみならず県外にも販売しており、明治初期には生産の最盛期を迎えました。
しかし、様々な理由(交通網の発達による立体的な雛人形の全国流通など)により明治後期なると生産が衰え、ついには生産者が途絶えてしまいました。

それから数十年後の昭和40年代に、ベラミ人形店の三村隆重さんが松本の古民家に残っていた明治期の押絵雛をもとに、東京の押絵羽子板職人に弟子入りして習得した押絵の技術を駆使して、現代に製作技法を復活させたのです。そして現在では三村さんご一家が唯一の職人としてこの松本の伝統を守り伝えていらっしゃいます。

ちなみに押絵はお雛様に限りません。忠臣蔵や川中島の合戦といった歴史上の出来事を題材にしたもの、桃太郎などの昔話を題材にしたものなど、多種多様です。
店内には明治時代に作られたもの、お店で新たに製作したものを含めて本当にたくさんの押絵を見ることが出来ます。





実はベラミ人形店さんにある伝統工芸品は押絵雛だけではありません。
春はひな祭り、じゃあ夏は何があるのか?‥‥七夕でしょ!
松本平には江戸時代中期より前から独特の七夕人形が伝わっており、なかには国の重要有形民俗文化財に指定されているものもあります。

七夕人形の種類は最も一般的な『紙雛形式』(写真左側)、本物の着物をかける『着物かけ形式』(奥)、素朴な『流し雛形式』(右から2番目)、毎年一枚ずつ紙衣を重ねていく『人がた形式』(右端)の4種類があります。

これらをなるべく風の通る軒下に吊るして飾り、風で厄を吹き払ってもらう厄落しとして使います。
松本平から糸魚川方面へと延びる千国街道(いわゆる「塩の道」)では、七夕の日になると街道沿いの家々に七夕人形が飾られる風景を見れるそうですよ。
(因みに松本の七夕は一ヶ月遅れの8月7日、ひな祭りは4月3日)


おまけにもう一つ、こんなものもありました。その名も『松本姉様人形』

これは女の子の遊び道具として紙や布で作った小型の人形で、日本髪の美しさを強調するために後ろ向きを正面とする日本特有の形の人形です。(目や鼻はありません)
色鮮やかな着物をとおして城下町松本の昔の生活や風俗を感じることもできます。「見返り美人」なんて言葉がありますが、雅な後ろ姿が無限の想像力を膨らませますね。


しばし妄想にふけっていたら「こんにちは~」という声が。
このお店には全国から人形好きが訪れますが、今回の取材中にも観光客の方々がはるばる遠方からご来店されました。

写真左手は三村さん夫妻の息子さんで店主の隆彦さん。お店を訪れると人形について丁寧に説明してくださいますよ。(基本的に水曜はお休みなのでご注意ください)

時期は未定ですが今後何点か人形をお借りして、松本合同庁舎の県民ホールに展示させていただくことになりました!合庁ユーザーの方は要チェックですよicon22
「待てないよ!」という方は是非ともお店に入って松本の伝統工芸を堪能してくださいicon12

【ベラミ人形店みむら】
住  所:松本市中央3-7-23
電  話:0263-33-1314
営業時間:平日9:00~19:00/日曜祝日10:00~18:00
定 休 日 :水曜日

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