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Vol100■とく☆とく信州(週刊信州2周年記念連載)

素人蕎麦打ち名人の板倉副知事による連載

お蕎麦のとっておき話(その5)

先週に引続き、蕎麦の特徴についてお話しします。

<そばの特徴2>植物としての性質
蕎麦は、植物分類学的にはタデ科に属する一年草の植物ですが、その大きな特徴として、一つの花の中で受粉ができないことがあります。
もう少し詳しく説明しますと、蕎麦の花には、おしべと比べてめしべが長い「長柱花」と逆にめしべの方が短い「短柱花」の2種類があります。


「季刊そばの国だより(日穀製粉(株))」より

イベント会場で蕎麦打ちを
披露する板倉副知事



この「長柱花」と「短柱花」のお互いの花粉をミツバチなど主に虫に運んでもらって受粉することで初めて結実できるのです。これを「他家受粉」といいます。
これに対してコメやムギは、一つの花で結実する「自家受粉」の性質を持ちます。

他家受粉の植物は、開花する時期に悪天候が続くと、虫の行動が鈍くなって結実する率が不安定になるばかりか、一方では、広い範囲に花粉が運ばれて他の品種と交雑してしまうため、一定の品種を維持することが大変難しいのです。


伊那地方で見られる赤い花のじゅうたん

上の写真は、長野県の箕輪町、中川村、宮田村など伊那地方を中心に9月中旬から10月上旬にかけて見られる日本でも珍しい赤い花をつけたそば畑の風景です。
この赤い花は、「高嶺ルビー」といって、信州大学の氏原暉男名誉教授が、ヒマラヤ山麓で咲いていた赤い花のそばの種を日本に持ち帰り、地元の民間企業とともに品種改良を重ねて1993年に品種登録した種類です。

澄み渡った青空に、赤い花のじゅうたんが敷き詰められた風景は大変美しいのですが、他家受粉の性質を持つために、普通の蕎麦の花粉が運ばれて受粉すると、その種は白い花や赤い花が混在したり、ピンクの花になってしまいます。
このため、交雑しないように遠く隔離された場所で栽培したり、あるいは、毎年、新しく種を購入したりと、地元の方々の努力に支えられて、この素晴らしい風景が維持されているのです。この赤い花が見られる伊那地方を含め県内全域で、秋に合わせてそば祭りが開催されますので、皆さんもお出掛けください。

<そばの特徴3>栄養素
蕎麦には、前号でも触れたようにタンパク質やでんぷんの他に、マグネシウム・銅・鉄・カリウムなどのミネラルやビタミンB1などの栄養素が米や麦よりも多く含まれています。

お蕎麦を食べる際のもう一つの楽しみは、食べた後に出される蕎麦湯に、つゆと薬味を好みで入れて飲むことではないでしょうか。
この習慣は、やはり江戸時代から始まったようですが、茹でたお湯に溶け出した貴重な栄養分を身体に補給するため、先人の知恵から生まれたものなのでしょう。

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