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<VOL.197>四季彩だより ~信濃の国から~

手つかずのブナが残る貴重な里山「鍋倉山」(飯山市)

朝晩、窓を開けるとス~ッと涼しい風が部屋に流れ込んできて、
だいぶ過ごしやすくなってきました。
同時に辺りは秋の気配がそちらこちらで顔をのぞかせ始めました。
今回は、春の芽吹きと並んで秋の紅葉もとても美しいブナ林の紹介です。


(春のブナ林)


長野県北部、北信濃に位置する飯山市に山全体がブナで覆われた山、「鍋倉山」があります。
昔から集落の人たちが薪を拾ったり、炭焼きに入ったりと、地域の人々の暮らしと深く結びついてきた里山です。

ブナは、かつて日本全国に生育していましたが、木材としては“ひび”が入ったり、“ねじれ”が生じやすく、また材質的に硬く建材などには使いづらいため、昭和30~40年代にかけ、その多くが伐採され、加工のしやすい杉などの人工林へと姿を変えて行きました。

しかし、ブナは幹に耳をあてると水の流れる音が聞こえると言われるほど保水力に富み、ブナの森は栄養豊かな水を十分に貯えた「緑のダム」として、広大な田んぼにその豊富な水を与えてもくれます。

このため鍋倉山麓の人々は、「ブナ1本で一反歩の田を潤す」との言葉が語り継がれるほど、水とブナの森の関係、ブナの森の重要性を古くから経験として知っていたため、過度な伐採を行わず、多くのブナを大切に残してきました。


(凛とした姿の森太郎)

鍋倉山の中腹にある通称「巨木の谷」は、手つかずのブナの原生林で、長野県自然百選の第1位にも選ばれており、春の芽吹きの季節には、残雪に映える新緑の美しさと森の癒しを求めて、多くの人々が訪れます。

この「巨木の谷」には、樹齢400年を超えるブナの巨木「森太郎」が物言わずにどっしりと悠然とそびえています。
圧倒的な存在感を放ち、平成16(2004)年、全国の国有林の中から100本の巨樹・巨木を選んだ林野庁の「森の巨人たち百選」にも選ばれています。

鍋倉山は比較的アクセスが容易なこともあり、かつて大勢の人々が「森太郎」などの巨木に触れようと近づきました。無秩序な入山はブナの根元を踏み固める結果となり、ブナの衰弱が見受けられるようになりました。

このため、鍋倉山を愛し、次の世代に美しいブナの森を残そうとボランティアによる「いいやまブナの森倶楽部」の活動がスタートし、ブナの森の保護・保全活動や森林環境学習、里山再生活動など、さまざまな活動や取り組みが行われるようになりました。
「森太郎」は現在、踏圧による衰弱を避けるため、周囲にロープが張られ保護されています。


(秋の鍋倉山)

これから信州は秋本番を迎え、山々は緑から赤や黄色の装いに包まれます。
皆さんも秋の一日、マナーをしっかり守って、色とりどりの紅葉と静寂に包まれたブナ林で、森林からの恵みを思いっきりいただいてみてはいかがでしょう!!

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