よむナガノ 県立長野図書館ブログ

長野県にまつわる事柄について、図書館の本を使って、読んで楽しい情報をお届けします。 また、レファレンス(調査相談)や相互貸借、インターネットサービスなどの便利なサービスや、普段見ることのできない図書館員の業務についても紹介します。 ぜひ県立長野図書館をご利用ください。

長野県魅力発信ブログ > よむナガノ 県立長野図書館ブログ > 企画展・イベント > 「GIFT;子どもの世界が変わった時」 > 「GIFT;子どもの世界が変わった時」【1】『基礎科学教育叢書 The Basic Science Education Series』

「GIFT;子どもの世界が変わった時」【1】『基礎科学教育叢書 The Basic Science Education Series』

GIFTfinal

 県立長野図書館戦後70年特別企画Ⅱ
「GIFT;子どもの世界が変わった時」
―進駐軍とともにやってきた児童書と戦前・戦中・戦後―

 

平成27(2015)年12月22日(火)から平成28(2016)年1月28日(木)まで当館で開催中の標記企画展。おかげさまで新聞各紙でも掲載されるなど、好評いただいております。

今回もこのブログ「よむナガノ」において、展示資料の様子と解説パネルの内容などをこれから何回かにわたってご紹介していきたいと思います。




「基礎科学教育叢書」 (The Basic Science Education Series)

kisokagakukyouikusousyo1  stamp-GIFT 

敗戦後の日本において、まず課題となったのが教科書づくりであった。昭和22(1947)年から戦後の新教育制度が発足したが、新しい教科書を編纂するまでには至っておらず、戦中の教科書に墨を塗って使っていた。その頃、教育課程文庫としてアメリカから日本に寄贈され、文部省著作小学校理科教科書『小学生の科学』(1949)の編纂に大きな影響を及ぼしたのがこの『基礎科学教育叢書』である。

もともとはアメリカ進歩主義教育の中心・シカゴ大学・シカゴ実験学校で謄写版印刷され用いられていた自作教材だったため、実験学校の教育理論・実践が色濃く反映されている。1941-59年まで18年かけて出版され、その後は実験校で使用されただけでなく、シカゴやニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市で教科書として採用され、小冊子は合計3,500万部売れるという大ベストセラーになった。我が国においては、終戦直後に広島図書株式会社が翻訳権を得て、各36頁のブックレット型で出版した。

この『基礎科学教育叢書』の影響を大いに受けた理科教科書『小学生の科学』は、書名(単元名)が、「私たちのまわりにはどんな生物がいるか」「電じしゃくはどのように使われているか」「交通機関はどのようにして動くか」「物の質はどのように変わるか、電気を使うとどんなに便利か」などというように疑問文になっている。また、記述の仕方が対話調であったり、物語風であったり、写真や多色刷りの絵や図が取り入れられたりするなど、戦前の国定教科書とは体様面で画期的な進歩を示している。




この『基礎科学教育叢書』は、現在、当館に19タイトル20冊残されている。これは「国立国会図書館サーチ(蔵書検索)」で調べると、栃木県立図書館(26タイトル)、国立国会図書館(25タイトル)に次いで、全国で3番目に多い所蔵数である。

当館にあるこの叢書20冊のうち、9冊に「GIFT:アメリカ文化センター」のスタンプが付いている。「アメリカ文化センター(ACC)」とは、戦後、連合国軍総司令部(GHQ/SCAP)の民間情報教育局(CIE)が全国各地に設置した「CIE図書館」が、1954年のサンフランシスコ講和条約の発効で占領が終わったことにより移行した組織である。(※CIE図書館については回を改めて触れる。)

当時の図書原簿を見ると、受入日はいずれも昭和27(1952)年10月4日となっており、まとめて寄贈されたことがわかる。ACCから寄贈された『基礎科学教育叢書』は本来12冊あった。しかし、その寄贈された中で重複していたタイトル1冊と、また既に当館に所蔵があるもの2冊については、後年になり除籍しているため、結果として現在残っているのは計20冊となる。

genbo  GIFT2

この昭和27年10月4日の時点ではすでに当館で同叢書は11冊購入されていたのだが、ACCから寄贈された本はそれらとほとんど重複していない(3冊が重複)。寄贈された本の出版年を見ると、購入している巻と同じ1950年が多い。したがって、これは事前に所蔵の無い巻を何らかの形で確認したうえで、無いものを寄贈したと考えられるのではないだろうか。それほど、アメリカ側はこの叢書を「セット」で持たせたかったのかもしれない。そこにどんな意図があったかはうかがい知ることはできないが、この鮮やかで美しい表紙の本たちを見ると、当時これを手にとった子どもたちが未来に明るい希望を感じたであろうことは想像に難くない。

 
書名 出版年 受入日
【寄贈分】 「GIFT:アメリカ文化センター」スタンプあり
あつまって生活する動物;Animals that live together 1949.10 1952.10.4
動物の旅;Animals travels 1950.1
太陽のやくめ;How the Sun helps us 1950.4
やくにたつしょくぶつどどうぶつ;Useful plants and animals 1950.4
寄生植物;Dependent plants 1950.8
動物の一年;Animals round the yea 1950.8
かくれんぼする水;Water appears and disappears 1950.10
自然界のつりあい;Balance in nature 1950.10
電気のはなし;Electricity 1950.10
【購入分】
岩に刻んだ地球の歴史;Stories read from the Rocks 1949.8.1 1949.7.5
たのしいふゆ;Winter is here 1949.12 1950.4.7
光のはなし;Light 1950.1 1950.4.7
おにわにくるとり;Birds in your backyard 1950.4 1950.8.10
おもちゃあそび;Toys 1950.4 1950.8.10
たのしいなつ;Summer is here 1950.4 1950.8.10
六つあしのなかま;Six-legged neighbors 1950.5 1950.12.22
月の世界;The Earth’s nearest neighbo 1950.7 1950.12.22
火のはなし;Fire 1950.7 1950.12.22
10 かくれんぼする水;Water appears and disappears 1950.10 1951.4.5
11 物はなにからできているか;What things are made of 1950.10 1951.4.5
 




 ■県立長野図書館戦後70年特別企画Ⅱ

「GIFT;子どもの世界が変わった時―進駐軍とともにやってきた児童書と戦前・戦中・戦後―」

2015.12.22(火>2016.1.28(木)

http://www.library.pref.nagano.jp/kikaku_1512

 

 

LINEで送る

このブログのトップへ