い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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餅搗く頃【井月さんのこころ41】

井月さんのこころ シリーズ その41
 年の暮れ、新年の準備に餅をつく季節になりました。
 23日(月)の天皇誕生日、南箕輪村の大和屋農園さんの餅つきを農政課のH課長補佐がおじゃまして取材させていただきました。
 一晩水に浸した「白毛餅」という品種のもち米を、リンゴの剪定枝を焚いて蒸篭(せいろ)で蒸かし、欅の臼と杵を使って手返ししながら搗く、御夫婦で息の合った餅つき風景です。
 この日は、女性農業後継者の方もお手伝いされて、全部で4臼の餅をついたそうです。




 
 さて、井月さんも年の瀬をあちらこちらと、おじゃましながら餅つきの様子を眺めていたようです。
 井月さんが詠んだ餅つき風景です。

  もちつきのどさくさ酒の燗冷し    井月
  餅搗や恥しながら婿と嫁     井月
  餅搗は家内和合の始かな     井月

 以下、後者の句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、

 新年準備の餅搗。杵で搗く夫、手がえしする妻、その絶妙の間合い。家内和合の象徴だ。若夫婦の餅つきを見て、これでこの家も仲良く行けそうだと思う。多忙だった一年も無事に終わった。来年の家内安全、作物の豊作を祈る。
 「遠近のもちつききくや草まくら」と書き記す井月は野宿しているのか。だんらんの世間、この時ばかりは孤独にさいなまれる。
  (餅搗・冬)
 

 さて、先週の21日(土)の午後、伊那文化会館で大きな行事が二つありました。
 ひとつは、「ふるさと風景育成の集い」で午後1時から長野県の主催・伊那市の共催で大ホールに700名を超える参加者にお越しいただいて、長野県の美しい農村風景や景観を活かし、地域の魅力を高めていくことの必要性を考えていただく趣旨で開催されました。
 長野県警察音楽隊によるオープニング演奏、開会セレモニー、『信州ふるさとの見える(丘)』認定箇所の発表に続いて、『信州ふるさと風景の創り方』について東京農業大学名誉教授・元学長の進士五十八先生からの基調講演をいただきました。



 長野県は、県景観審議会の会長でもある進士先生が中心となってまとめていただいた答申を基に「世界に誇る信州・ふるさと風景づくり(長野県農村景観育成方針)」を策定し、美しく豊かな農村景観を次世代に継承していくこことしています。
 進士先生は、基調講演で「自然・社会・文化の三つの環境を持続するには、生物多様性・生活多様性・景観多様性の三つの多様性を進めなければならない」とし、多様性に寄与する「農」を大切にした風景づくりを進める必要性を論じられました。
 そして、「風景」を気候、歴史、地理、植生、水系、地形、地質に解剖して解説されました。
 特に印象に残ったのは「行政が今までアンタッチャブルであった信仰など人の心に入り込むものを大切にし、感性を取り戻す必要がある。」という言葉でした。同感で、道祖神や石仏がある風景もそれを祀るこころと一緒に残したいものだと思いました。

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