じょうしょう気流 「上小(じょうしょう)地域」と聞いて、みなさんは長野県のどの地域を思い浮かべますか?「上小地域」は、上田市、東御市、小県郡長和町、青木村の2市1町1村からなり、群馬県の西側に接する地域です。「上小」には自然、歴史、文化、おいしい農産物など、さまざまな魅力がありますが、それらを上田合同庁舎の職員の目で見て綴り、皆さんにご紹介してまいります。

じょうしょう気流

「上小(じょうしょう)地域」と聞いて、みなさんは長野県のどの地域を思い浮かべますか?「上小地域」は、上田市、東御市、小県郡長和町、青木村の2市1町1村からなり、群馬県の西側に接する地域です。「上小」には自然、歴史、文化、おいしい農産物など、さまざまな魅力がありますが、それらを上田合同庁舎の職員の目で見て綴り、皆さんにご紹介してまいります。

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別所線の魅力 「別所線牧歌」の風景を巡る 3番

 上小地方事務所のY夫です。

 別所線沿線の風景、名所を詞に織り込んだ別所線牧歌。それらを写真で巡ろうというシリーズ3回目。 前回まではこちら 1回目 2回目

 最終回は、3番。歌詞をまず見ておきましょう。「岳の幟 愛染桂 縁を結ぶ観音さん 湯煙のぼり 鐘の音響き 丸窓電車古い駅に  この里が好き この匂いが好き 小さな電車が好き 涙あふれるほど好き 春夏秋冬 信濃の季節 奏でているよレールの音 この里が好き この匂いが好き 小さな電車が好き 涙あふれるほど好き 不器用な風流れてるけど 耳を澄ませばレールの音」

 岳の幟。雨乞いの祭です。この地域は雨が少なく、山も浅いため小さな河川しかないことから、田んぼに水を引くため、昔からため池がたくさん作られました。それでも水が足りないひでりの年はあるものです。約5百年前、そんな大干ばつに見舞われた際、別所温泉と青木村の境にある夫神岳(おがみだけ)に九頭竜権現をまつり、雨を降らしてくれたら毎年あらん限りの布を献上しますとお祈りしたところ、雨が降ったそうです。それからは毎年、布を竹ざおに付けて夫神岳に登り、お参りした後下まで下ってくるようになったのがこのお祭の始まりだとか。

 毎年7月の中旬に行われます。山頂から降りてきたたくさんの幟、高さは7~8mはあるでしょうか、何十本もの幟がはためいています。これで、温泉の中を練り歩きます。また、その間、きれいな着物に花笠をかぶった小学生の女の子たちが手に「ささら」を持って踊る「ささら踊り」や、「三頭獅子(みかしらじし)」といって、獅子頭をかぶった三人が舞を踊るパフォーマンスなども行われます。

 愛染桂(あいぜんかつら)」。北向観音の中にある桂の木です。木の高さは20mを超え、周囲は約6mの巨木。厄除観音の霊木として昔から崇められてきました。また、なんといっても「あいぜんかつら」の名前がいいですよねえ。直木賞作家の川口松太郎の小説「愛染かつら」の中で、男女が桂の木の前で愛を誓う、その発想の元となった木ということです。川口松太郎がこの木と、境内にある「愛染明王堂」を結び付けて名前を付けたのだとか。これを原作とした映画の主題歌にも出てきます。「花も~嵐も~踏み越えて~」という60歳代以上の方にはよくご存知の歌です。
 そんなことから、北向観音の縁起(成り立ち)に関係するような古くからの霊木ですが、縁結びの霊木としても、今でも親しまれています。

 縁を結ぶ観音さん「北向観音」ですね。別所温泉のシンボル的存在。
 ここは、825年といいますから平安時代になってしばらくたった頃、円仁によって開かれました。今は近くにある「常楽寺」が管理しています。ここの特徴は、名前にもあるように北向きに建てられています。北向観音のご利益は「現世利益」で、南向きに建てられていて「未来往生」を願う「善光寺」とセットでおまいりするのが良いとされ、善光寺だけでは「片まいり」になってしまいます。我が家の正月の初詣は、三十年来ここです。だるまももちろんここで手に入れます。善光寺に行かないことはあってもここは欠かしたことがありません。生きているうちのご利益が優先、というわけではないのですが。

 湯煙のぼり。別所温泉ですからね。この温泉は、信州で最も古い温泉とも言われています。日本武尊の東征のときに発見されたとか、平安時代に書かれた「枕草子」に出てくる「七久里の湯」がそうではないかといった説があります。
 そんな別所温泉には、たくさんの温泉旅館があります。地元の食材を使った料理や、ここでしか売っていないワインがあるとか、おもてなしの心一杯の旅館が多いです。
 また、外湯もいいのがありまして、日帰り温泉施設としては、「あいそめの湯」という大きなお風呂のある近代的な施設がありますが、建物からしてちょっといい雰囲気の外湯が3つもあります。温泉街を歩くと、足湯も2箇所。詳しくはこちらのブログで → その1 その2

 丸窓電車 古い駅に。別所線牧歌ですから最後はやっぱりこの電車。車両のドアを出し入れする戸袋の横の窓が楕円形になっているのが名前の由来です。昭和3年(1928年)に導入され、昭和61年(1986年)に引退しました。でも、地元ではとても愛着が強かったのでしょう、今も塩田地域の3箇所で展示されています。別所温泉駅、長野計器㈱丸子工場、そして写真のさくら国際高校のグラウンド。一昨年(平成23年)に上田電鉄から譲り受けて、生徒や地域の方々が塗装してきれいになりました(その様子はこちらのブログで)。

 今も丸い窓を付けて走っているのは、その名も「まるまどりーむ号」。「7200系」という電車です。この電車は、平成5年(1993年)に別所線に導入され、平成17年(2005年)に、丸窓電車風に戸袋の横にある窓を楕円形にしたり、色も同じようにしてラッピングを施しました。丸窓電車がいかに沿線の人たちに愛されていたかわかります。

 「別所線牧歌」は、別所線の存続を願う方々の思いが詰まった歌。別所線では、今、通勤客はもとより、高校生が大勢乗ってくれています。こういう若い世代の人たちがこれからも乗り続けて、そして、次の世代にも別所線を引き継いでいっていただきたいもの。大いに期待しています。

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